地方創生推進交付金も活用できる

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事業局 主査 奥村滉太郎氏(写真:近藤寿成)

 最後に、内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事業局 主査の奥村滉太郎氏が、地方創生交付金を活用したSIBの推進について語った。地方創生の交付金は、地方へ経済効果を波及させる「ローカル・アベノミクス」の浸透をテーマに、自治体が自主性や創造性を持って行う取り組みを後押しする補助金である。

 地方創生に関連する交付金は、2016年度補正予算において地方創生先行型交付金として始まり、2019年度予算では地方創生推進交付金として1000億円(事業費ベース2000億円)、2018年度補正予算では地方創生拠点整備交付金として600億円(事業費ベース1200億円)が決定案となっている。地方創生推進交付金と地方創生拠点整備交付金はソフト事業の経費とハード事業の経費に役割が分かれており、「SIB関連で利用される可能性があるのは地方創生推進交付金となる」(奥村氏)。

 地方創生推進交付金は、地方版総合戦略に基づく、地方公共団体の自主的・主体的で先導的な事業を財政面から国が後押しする。国費を使うため「KPIの設定とPDCAサイクルをしっかり組み込む必要がある」ものの、各省庁の予算を使う場合と違って制限がないため「従来の縦割り事業よりも幅広く利用できる」と奥村氏はそのメリットを挙げる。さらに、地域再生法に基づく法律補助の交付金となり「来年度に突然なくなるということはほぼない」ため、中長期的な計画で事業を実施できる点も特徴となる。なお、資金の流れとしては、半分を国が負担し、残りの半分を地方自治体が用意する。

 地方創生推進交付金を活用したSIB事業としては、経済産業省の高橋氏が紹介した岡山市の事例がある。概要は同じで、この事業では市が予算の半分にあたる3800万円を用意し、国庫から残り半分の3800万円が交付された。奥村氏によれば、国庫からの交付金は「成果連動型の報酬に充てることはできない」とのことで、基本的には「事務局といった中間支援組織の運営経費などに使われる」と説明する。

 また、兵庫県川西市・新潟県見附市・千葉県白子町による広域連携モデルの事業も経済産業省のものと同様となる。この事例について奥村氏は、「交付金を上手く活用し、中小規模の自治体で上手くビジネスモデルを創出した好例」と評価し、「規模の小さい自治体でも、横展開でSIB事業を進められる」と提案した。

地方創生関係交付金の概要(イメージ)(当日の講演資料より)
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