地元の意見を吸い上げて道路空間デザインに反映

 そこで、2017年度からは、事業者・住民・行政が共に学び、意見を交わし、コミュニケーションを取れるよう、セミナーや勉強会、ワークショップなどを開催した。舌﨑技師は「およそ150軒の沿道事業者を訪ね歩いて、社会実験の結果を共有したり、ワークショップに誘ったりした」という。

 2019年度は具体的なビジョンを描いて共有する目的で、マーケット、公開会議、講演会をセットにした「デザインミーティング」を4カ月間に3回実施した。公開会議は街づくりの専門家と沿道事業者や行政関係者が車座になって県庁通りの未来を語り合うもの。

会議も講演も屋外で開催し、新たなプレーヤーを呼び込んだ(舌﨑技師の講演資料より)
会議も講演も屋外で開催し、新たなプレーヤーを呼び込んだ(舌﨑技師の講演資料より)
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 「会議も講演も、会議室ではなく、県庁通りに面したコインパーキングを借り上げて実施した。通りすがりの人が立ち寄ってくれたり、フェンスごしにでも聞いてくれたりして、新しいプレーヤーを巻き込むことができた。マーケットなど目に見える取り組みを始めたことで、沿道事業者や市民の興味・関心が高まった」(舌﨑技師)

 デザインミーティングで得られた意見はハード整備にも反映した。例えば、「県庁通りは岡山で最先端、都会的というイメージがある」という声が多く聞かれたことから、“アーバン”なデザインを採用した。また、沿道事業者から「イベント時だけでなく、日常的なにぎわいを創出するために、公共空間(歩道)を活用したい」という声があり、歩道空間の活用を前提としたデザインを取り入れた。民地側から1mの部分と、歩道が広い場所の車道側は活用を見越して、舗装ブロックの貼り方を変えている。

2020年の社会実験は「日常的に」にぎわいを生むことを意識。この実験は「低コストなので、道路管理者と警察との協議さえ整えば実施しやすい」と舌﨑氏。費用の使途は、警備、ポスター、民地から1mを示す養生テープなどだという(舌﨑技師の講演資料より)
2020年の社会実験は「日常的に」にぎわいを生むことを意識。この実験は「低コストなので、道路管理者と警察との協議さえ整えば実施しやすい」と舌﨑氏。費用の使途は、警備、ポスター、民地から1mを示す養生テープなどだという(舌﨑技師の講演資料より)
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 2020年度は9月末から5日間、歩道空間の利活用に関する社会実験を行った。沿道の各店舗が歩道に1mせり出して営業するというものだ。「店舗のにぎわいが屋外へ出てきて、屋外のにぎわいが逆に店舗へ入り込んでいく。(ベンチで飲食する)子どもたちの笑顔が見られて街の雰囲気が変わった」という。

 今後は、2022年度末に全線でハード整備が完了する見通しだ。ソフト施策は、都市再生特別措置法の道路占用許可の特例を利用して行っていく。「歩行者利便増進道路(ほこみち)」制度の活用も視野に入っている。 また、2020年の社会実験を踏まえて、活用ルールを検討するとともに、活用主体となる沿道組織の設立や、その沿道組織の持続的な運営方法を検討していくとした。