文部科学省が進める「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の拠点の1つである名古屋大学COIは、「高齢者が元気になるモビリティ社会」の実現に取り組んでいる。その実現に向け、実用化や事業化を目指す製品・サービスの最新情報を紹介するシンポジウム「モビリティ革命から始まる地域イノベーション」を、3月14日に都内で開催した。シンポジウムでは、実証実験に取り組む研究者や自治体、支援する省庁関係者などを交えた、2つのクロストークが繰り広げられた。

 名古屋大学COIは名古屋大学が中核となり、トヨタ自動車やパナソニック、富士通、旭硝子などの企業が参画して研究を推進する組織である。その研究テーマの1つである「協調領域研究」において、「中山間地域でのモデルコミュニティ形成実証」が進められている。

 3月14日に開催されたシンポジウム「モビリティ革命から始まる地域イノベーション」のクロストーク(1)「モビリティブレンド」では、高齢化率が40%を超える愛知県豊田市の中山間地域(足助地区と旭地区)で、高齢者の移動を支援するサービスとしてMaaS(Mobility as a Service)の一種である「モビリティブレンド」の実証が報告された(写真)。

(写真)シンポジウムには豊田市の太田稔彦市長(左端)らが登壇した(出所:名古屋大学COI)
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豊田市の中山間地域における「たすけあいカー」

 豊田市の足助地区では、スーパーマーケットや総合病院がある中心拠点と、集落の拠点を結ぶ路線バスが13路線あるものの、各路線は週1往復しか運行されていない。また、集落の拠点にあるバス停から住居までは数百メートルほどの坂道になっており、高齢者が歩く負担は大きい。タクシーも地域全体で3台しかなく、地区の中心拠点から住居まで利用すると料金が高額になってしまう。

 このように、既存の交通機関だけでは不便な地域に新規の交通手段を作り、それを既存の交通手段とブレンドするサービスが「モビリティブレンド」だ。基本は住民同士の共助である。新規の交通手段として、ボランティアのドライバーによる「たすけあいカー」と呼ばれる自家用車の相乗りを導入する。また、タクシーも複数の利用者で運賃を分担する相乗り乗車を推奨する。モビリティブレンドの導入によって高齢者の外出機会を増やすことで、健康寿命の延伸も目指す(図1)。

(図1)モビリティブレンドによる健康寿命の延伸(出所:名古屋大学COI)
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