内閣官房IT総合戦略室は、自治体のオープンデータの取り組み状況に関するアンケート調査の結果を公表した。官民データ活用推進基本法の施行から2年が経過したが、オープンデータを公開中の自治体は、回答した1736団体中の573団体、33%にとどまることが明らかになった。

 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、「地方公共団体へのオープンデータの取組状況に関するアンケート」結果を2019年3月26日に公表した。国や自治体が保有する官民データの容易な利用を促す官民データ活用推進基本法が2016年12月に施行されてから2年が経過したが、オープンデータを公開中の自治体は、回答した1736団体中の573団体、33%にとどまることが明らかになった。

 アンケートの実施期間は2018年12月中旬から2019年1月中旬まで。全47都道府県、および全1741市区町村のうち約97%の1689団体から回答を得た。未回答市町村の内訳は、北海道40団体、宮城県4団体、茨城県1団体、東京都1団体、山梨県6団体。

 IT総合戦略室は、2016年度下期にも、自治体でのオープンデータの取り組み状況の把握、課題の抽出、支援策の検討に役立てるためアンケート調査を実施した。今回は、官民データ活用推進基本法の施行から2年が経過したタイミングで、取り組みの進捗状況の把握と、より効果的な支援につなげるために調査を実施した。

公開団体は1.7倍増、ただし過半数は「計画なし」

 オープンデータの公開状況について、「自団体のページ」「複数団体共同で作成したページ」「都道府県取りまとめのページ」で公開中と回答した団体は、全体の33%にあたる573団体。前回調査での18.6%、333団体から1.7倍に増加したものの、まだ半数を超える団体が「未公開(計画なし)」である。

 政府のデジタル・ガバメント閣僚会議が決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」では、2020年度までに自治体のオープンデータ取り組み率100%を目標にしている。

■自治体でのオープンデータの公開の状況 
(資料:内閣官房IT総合戦略室「地方公共団体へのオープンデータの取組に関する アンケート結果」〔2019年3月〕を一部加工)
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 データ公開の方法は、ホームページが51.7%(296団体)、データカタログサイトが38.4%(220団体)、データカタログサイトおよびダッシュボードが8.6%(49団体)、その他が1.4%(8団体)だった。

 オープンデータとして公開しているデータのうち、最も多いのが「基礎的な統計情報(人口、産業等)」であり、72.8%(前回調査は72.4%)の団体が公開している。次に多いのが「防災分野の各種情報」で65.8%(同65.9%)だった。前回調査と比べて増加が目立った分野としては、「公共施設の位置やサービス」「健康づくり、医療福祉」「子育て」「観光」「学校教育」「交通事故や犯罪、火災等」が挙げられる。

■公開中のオープンデータの分野
(資料:内閣官房IT総合戦略室「地方公共団体へのオープンデータの取組に関する アンケート結果」〔2019年3月〕を一部加工)
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 現在公開しているオープンデータのデータ形式は、CSVなどの「非独占の形式」が71.4%で最も多く、前回調査の55.3%から大きく伸びた。一方、PDF形式やXLS形式でデータ公開する団体の比率は低下した。ただし、データ間の関係を記述しやすく、より高度なデータ連携・分析などに適した形式であるRDF(Resource Description Framework)などの「物事の識別にURI(Uniform Resource Identifier)を利用している」団体は9.6%(同9.9%)、LOD(Linked Open Data)などの「他のデータにリンクしている」は4.0%(同5.7%)にとどまっている。

 公開中のオープンデータについて、JIS(日本工業規格)、共通語彙基盤、FIWARE NGSI、schema.orgなどのデータ標準を意識しているどうかについては、「はい」が36.8%で、「いいえ」(63.2%)を下回った。

 オープンデータの公開にあたって準拠している規約は、「政府標準利用規約2.0またはCC BY4.0国際」が45%と最多であり、自治体のホームページで準拠している規約が「自団体で策定した利用規約」(65%)であるのに対して使い分けている様子がうかがえる。ただ、自由記入の回答には、「住民の高齢化が進む地域であり、オープンデータと、広報誌・ホームページ・コミュニティチャンネル等に情報を掲載することの違いが分からない人が多数を占めている」という指摘もあり、データの公開形式や利用規約・ライセンスに関する情報提供や周知の必要性は高いと言えそうだ。

全庁的な研修はほとんど実施されていない

 自治体職員におけるオープンデータの認知度は、「良く知っている」が39.7%と、前回調査の27.3%よりも10ポイント以上増えた。ただ、「知っているが詳細は分からない」は46.8%(前回50.4%)で高止まりしている。全庁的な課長向け・担当者向けオープンデータ研修の有無は、「ない」が94.4%を占めた。

 オープンデータに取り組むなかでの課題や問題点では、「オープンデータの効果・メリット・ニーズが不明確」が58.6%(前回62.2%)と、引き続き最多だった。また、「オープンデータを担当する人的リソースがない」56.2%(同47.8%)、「業務量の増加が予想されるため、導入できていない」28.6%(同19.9%)、「オープンデータの利活用が進まない」24.1%(同17.5%)は前回から5ポイント以上増加した。「その他」の自由記入回答として、オープンデータの取り組み以前に、「各機関・組織が保有するデータの把握ができていない」という課題を挙げた団体も散見された。

■オープンデータに取り組む際の課題や問題点
(資料:内閣官房IT総合戦略室「地方公共団体へのオープンデータの取組に関する アンケート結果」〔2019年3月〕を一部加工)
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 さらに「庁内で作成される多くの資料・データは再利用可能な形式で作成されていない。今後、オープンデータとして公開することを前提とした庁内の文書作成ルールや、標準フォーマットでのデータ作成方法を周知・展開する必要がある」との回答もあった。データのワンソース・マルチユース対応に向けた全庁横断での業務の見直しが課題として浮き彫りになっている。二次利用されるデータの鮮度や信頼性に対する問い合わせが増えることへの懸念も指摘されており、これらも業務の見直しにつながる可能性がある。

作業支援のほかに法制化の要望も

 「オープンデータに取り組むにあたって今後取り組みたい施策がある」と答えたのは646団体(37.2%)。その中で、今後取り組みたい施策として多く挙がったのは、「更なるオープンデータの公開」54.8%(前回54.2%)、「先進的な活用事例の調査」49.8%(同53.0%)に次いで、今回の調査で新たに追加した「推奨データセットへの対応」で47.5%だった。推奨データセットに準拠して各自治体がすでに公開しているデータとしては、「AED(自動体外式除細動器)設置箇所一覧」「地域・年齢別人口」「指定緊急避難場所一覧」などが挙がった。

 一方、必要な支援としては、「手順等をまとめたガイドラインの整備」42.6%(同43.8%)、「オープンデータ作成・公開の作業支援ツール提供」30.9%(同21.1%)、「オープンデータ作成・公開の作業支援」30.6%(同23.5%)が上位に並んだ。

 その他回答の自由記入では、「すでに法令などに基づいて国や都道府県に提出している市町村からのデータは、データの整合性確保や業務負荷軽減の観点から上位組織である国や都道府県レベルが公開してほしい」「推奨データセットのデータを所管する省庁から県や市町村の原課に当該データをオープンデータ化するように直接働きかけてほしい」といった趣旨の要望が挙がった。さらに、オープンデータの公開を義務付ける「取り組みへの強制力を持つ法の成立」を望む意見もあった。現状の推進方針だけでは首長や原課職員の理解・協力が得にくい団体があるようだ。

小規模自治体は負担軽減を切望

 内閣官房は、推奨データセットに「飲食店営業許可申請」情報の追加を検討している。同データセットをオープンデータとして先行公開している自治体では、「所管課の問い合わせ対応等の負荷軽減につながっている」と肯定的な意見があった。

 一方で、営業者から「迷惑なセールスが増えた」といった苦情が寄せられるケースもあり、どのデータ項目の情報を開示するべきか、伏せるのかに関する指摘もあった。さらに、同データセットと項目が関連する「食品衛生申請等システム」(開発中)からオープンデータを出力できるように、所管する厚生労働省と調整してほしいという要望も複数の自治体から挙がった。

 自由記入回答には、過疎化が進む小規模自治体の切実な声も並んだ。人的リソースやスキルの不足、マイナンバー対応やセキュリティ対策など日常業務に追われ余裕がなく、国や県で共通化したシステム基盤を展開してほしいという要望が目立った。

 併せて、利用者の目線でデータを掛け合わせるメリットが生まれるように、自治体ごとの個別対応ではなく、広域的に連携してオープンデータを提供する仕組みが必要という提案も多かった。

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