介護度の重度化防止をSIBで、くまもと健康支援研究所

くまもと健康支援研究所 代表取締役 松尾洋氏(写真:近藤寿成)

 くまもと健康支援研究所は、予防に特化した健康ベンチャー企業である。熊本県を中心に九州各県に営業所を設立し、九州の健康寿命延伸をはかっている。

 同社の調査によれば、「介護度は軽度者ほど重度化しやすい傾向にある」という。そこで松尾氏は「これを改善することこそが要支援高齢者の重度化を予防でき、そこに保険外サービスなどが入っていく余地がある」と考えた。さらに、「要支援高齢者の介護給付金は3年後に1.7倍に増加する」という調査結果から、「この増加分を原資に、増加分を抑制するような仕組みを構築できないか」と考え、介護分野のSIB事業を手掛けるようになった。

 現在は、厚生労働省の「介護度重度化防止SIB事業」の案件組成を手掛けており、公文教育研究会の「学習療法」などを導入して重度化を効果的に防止する仕組みづくりを進めている。

 まず、くまもと健康支援研究所が各事業所の介護度重症化データを見える化し、改善の可能性が高い事業所をAIで判定する。次に、その事業所に対して「地域ケア個別会議」で指導していくほか、さらに向上・改善余地のある事業所には、くまもと健康支援研究所が「学習療法」などを提案していくというものだ。

介護度重度化防止SIB事業のスキーム(当日の講演資料より)
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 全体的に手のかかる手順となるが、「一度構築できれば、そのまま他県の事業にも利用できる」ことから、高橋氏は「SIBの事業モデルの横展開」に最大の期待を寄せている。さらに、「成果が出るか分からない新規事業の実施ハードルを下げる効果もあった」と分析する。ただし、そのハードルを下げるための課題解決として、「誰が見ても分かる成果指標やSIBの原資などのデータを示す必要がある」と指摘した。