米VCとの共同プロジェクトも始動

 2つめの施策は、4月23日に発表した「500 KOBE ACCELERATOR」(以下500 KOBE)の取り組みだ。500 KOBEは、米シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)である「500 Startups」と神戸市が共同で毎年開催してきたスタートアップ育成プログラムで、2016年からスタートしていた。第4回の2019年はヘルステック領域に特化し、「神戸医療産業都市」との相乗効果を図った。募集ターゲットを日本に限定しないのが特徴で、申し込み数174社のうち、海外勢が半数を超えるなど世界のスタートアップ界隈でも存在感を高めていた。

 前回の成果を踏まえ、今年は新型コロナ対策のみにテーマを定めた。500 KOBEに当初から関わってきた神戸市 広報戦略部長兼広報官の多名部重則氏は、「元500 Startupsの幹部であるザファー・ユニス(Zafer Younis)氏とディスカッションする中で、逆風を追い風にするプログラムはどうかとひらめいた。それが3月19日のこと。3月30日には、久元(喜造)市長に『ピンチをチャンスに変えましょう』と相談した。わずか1カ月でここまでたどり着いたことになる」とその経緯を振り返る。

500 KOBEの施策は久元市長の定例会見で発表された(写真:YouTubeライブ配信から)
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 対象となるのは、ウイルス感染にまつわる予防、公衆衛生などに関する正確な情報発信、健康教育、リモートワーク・学習、食品物流、オンラインイベントほか。これまで同様、国内・海外は問わない。ただし、治療、創薬、高度な医療機器など事業化までに数年を費やすものは対象外となる。神戸市医療・新産業本部 新産業部 新産業課長の武田 卓氏は「現在、治療の領域では、多くの企業が全力で注力している。500 KOBEでは進行形のWithコロナに加え、Afterコロナを重点的に募集していきたい」と話す。

500 KOBEにおける新型コロナ対策の対象領域(出所:500 KOBE)
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 募集期間は2020年6月から7月を予定。審査を経て約20チームを選考し、8月から10月にかけてプログラムを実施する。通常の500 KOBEは参加チームが神戸市に足を運んで密なメンタリングや講義を受けるが、こうした状況とあって今年は完全オンラインでの開催となる。最終発表会であるデモデイの開催方法は、状況を見て検討するとしている。