5月には沖縄県は梅雨入りし、日本列島はこれから秋にかけて大雨や台風のシーズンを迎える。新型コロナウイルスの感染リスクが予断を許さない状況の中、自然災害発生時に「3密」を避ける避難所の在り方の検討が急務だ。そうした中、自治体、防災関連学会が相次いで避難所運営方針やガイドライン、提言を公表し始めた。

独自に「避難所運営方針」策定に動く自治体

福岡県が作成した様式集より、避難所に掲示するチラシの一例(資料:福岡県)
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 日本列島は、これから豪雨災害など自然災害のリスクが高まるシーズンとなる。これに備え、新型コロナウイルス感染症対策を新たに盛り込んだ避難所運営のガイドラインを独自にまとめる自治体が出てきている。

 福岡県は、市町村向けの「新型コロナウイルス感染症に対応した避難所運営マニュアル作成指針」をまとめ、20年5月7日に公表した。避難者が密接しないだけのスペースを確保するため、発生が予測される災害と避難者数などを事前に把握し、「臨時避難所」も含め、できる限り多くの避難所を選定・確保するよう促している。

 また避難所内のレイアウトも、飛沫感染を避けるため「段ボールベッドや布団の配置を互い違いにする」、食事に関しては「時間をずらして密集・密接を避ける」などが指針として書かれている。同県では「避難所の物資・資材リスト」や「避難者への周知チラシ」などの「様式集」も作成しており、印刷して避難所ですぐ使えるようになっている。

 岐阜県が5月にまとめた「避難所運営ガイドライン(新型コロナウイルス感染症対策編)」は、具体的な運営方法の例を「本編」と「様式集」「チェックリスト」の3つに分けて記載しているのが特徴だ。チェックリストには、「資機材の備蓄」や「感染者が確認された場合の対応」など、項目ごとに不備がないか、細かくチェックできるよう工夫されている。「体育館を避難所にする場合のレイアウト例」なども資料として掲載し、地域住民が避難所運営に携わる際にもイメージしやすいように作られている。

岐阜県は「コロナ対応の場合の新たな避難所レイアウト例」など分かりやすい資料集を用意(資料:岐阜県)
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 いち早く運営方針を示した自治体の1つが千葉市だ。5月1日に「新型コロナウイルス等感染症を踏まえた避難所開設運営方針」を策定。避難所の開設や運営の際に活用できる「資料集」と合わせてホームページで公開している。避難所の過密状態を防止するための具体的な対策方法としては、「在宅避難や親族・友人宅などへの避難を優先するよう周知すること」が真っ先に挙げられている。新型コロナウイルスによって避難のあり方も「分散避難」重視へと変わりつつある。

千葉市が用意した「避難所開設・運営で活用できる資料」より、避難所の「入退所のルール(感染症対策版)」(資料:千葉市)
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 避難所の運営にあたり、3つの自治体で共通の課題となっているのが、避難者の健康管理と感染予防の体制確立だ。感染症対策用品であるマスクや消毒液、非接触型体温計、ガウン・ゴーグルなどの確保も急がれる。さらに、感染が疑われる避難者への対応や移送をどうするか。保健所や医療関係者とも連携したさらなる体制の整備が今後、求められている。