見附市の取り組み:健幸ポイントや健幸クラウドを導入

 久野氏に続いて登壇したのは、SWC首長研究会の会長を務める新潟県見附市長の久住時男氏だ。久住氏は、健幸ポイントプログラムをはじめとする見附市におけるSWC首長研究会の社会実験の内容を紹介した。

 見附市の人口は約4万人だが、2014年から16年にかけて実施した健幸ポイントプログラムには約1200人の住民が参加。このときの参加者の79%は無関心層(運動未実施層と不十分層)であり、無関心層の取り込みに一定の成果を上げた。参加者の1日あたり平均歩数も、従来の6058歩から8112歩へと2000歩ほど増加した。見附市は2019年度も健幸ポイントプログラムを実施しており、現時点で1325人が参加する予定だという。

見附市の健幸ポイントプログラム(久住氏の講演資料より)
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 見附市も参加する「健幸クラウドシステム」は、見附市を含む広域連携7自治体(見附市、新潟市、三条市、福島県伊達市、岐阜県岐阜市、大阪府高石市、兵庫県豊岡市)が共同で構築・運営する。見附市は2012年3月に「健幸長寿社会を創造するスマートウエルネス総合特区」の1つに認定されており(現在は指定解除)、同システムは特区における成長戦略の柱である「データを中心とした説得力のあるエビデンスベースの健康施策」を実施するためのものとして導入された。

健康ビッグデータを活用する健幸クラウドシステム(久住氏の講演資料より)
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 健幸クラウドシステムの稼働開始は2013年3月。当初は見附市が管理する国民健康保険と介護保険のデータしか扱えなかったため、住民の30%前後しかカバーできなかった。その後、2013年11月に協会けんぽ加入者のデータや後期高齢者医療広域連合が管理する後期高齢者のデータまで扱えるようになり、2016年時点で見附市住民の76%をカバーしている。さらに、2017年から2019年までの3年計画で、同システムのデータを使ったAI(人工知能)の研究にも参加する。これは、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の公募事業であり、事業主体は筑波大学、つくばウエルネスリサーチ(千葉県柏市)、NTTデータ経営研究所(東京都千代田区)。研究の目的はエビデンスに基づく自治体の保健指導政策の立案能力の強化である。

 2013年5月には、超高齢化と人口減に対抗できる「歩いて楽しめる市街地」と「持続可能な周辺地域」を整備する「特定地域再生計画」を策定した。「このときは省庁横断的な計画を策定するため、内閣官房、国土交通省、経済産業省、農林水産省の課長クラスが集まってくれた」(久住市長)。続く2014年4月には持続可能なまちづくりのモデルとして全国10カ所の「地域活性化モデルケース」の1つに選ばれ、この地域活性化モデルケースをベースとする地域再生計画は2017年6月、国土交通省コンパクトシティ大賞の最高賞である「国土交通大臣表彰」を受賞している。