市民への無料サービス提供を継続するためのビジネスモデルを工夫

 ガッコム(東京都港区)代表取締役社長の山田洋志氏は、「学校をデータで見える化! -ガッコムの取組・統計のご紹介 -」と題して発表した。

 同社は、「Open Data & Open Choice for Children」というミッションを掲げて事業を展開している。学校情報サイトのガッコムのほかに、不審者や治安に関する情報を発信する「ガッコム安全ナビ」、全国の子ども食堂の地図を配信する「こども食堂マップ」などを提供している。

 社名にもなっているガッコムは、全国の保育園・幼稚園・小学校・中学校の情報を無料で提供するデータベースサイトだ。提供する学校情報は、自治体からの情報提供などに基づいている。そのほか、利用者がアンケート形式で投稿できる機能も用意している。たとえば、ガッコムに掲載される約1万ある中学校の93%で利用者からの投稿がある。中学校1校当たりの投稿数は平均99件に上る。

全国の学校情報を集める「ガッコム」。利用者からの投稿も多い(当日の山田氏の発表資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

 投稿されるのは、「校庭は土か芝か、部活動はどんなものがあるかなど、外部の人からはなかなか分からないけれど入学している人は分かっている、というような情報だ。それらの投稿によって学校情報が次第に拡充されている」と山田氏。ガッコムを利用する児童の保護者含む当事者の声が、子供たちが学校を検討するための情報を充実させるうえで欠かせない点を強調した。

 なぜ、ガッコムは利用者に無料でサービスを提供できるのか。山田氏は同社が持つデータを企業に提供することで収益を得ている取り組みをいくつか挙げた。例えば、LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の賃貸物件情報をガッコムのサイトに掲載している。ガッコムのサイトであるA小学校の情報を開くと、そのA小学校の通学区域(学区)内の不動産物件も掲示される仕組みだ。「このようなサービスが提供できるのは、住所から学区を自動で判定するアルゴリズムを当社が独自に開発しているため」だと山田氏は説明する。

住所から学区を自動で判定できるようにした(当日の山田氏の発表資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

 ほかにも、リスクマネジメントに関するコンサルティングサービスなどを提供するMS&ADインターリスク総研と連携して、教職員向けの安全研修(児童・生徒の登下校時の安全確保支援)などデータ提供を中心としたサポートも行っている。

校則、修学旅行先など様々な学校のデータを集積(当日の山田氏の発表資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

 「学校に関する客観的データを用いて1人ひとりに合う学校選びをしてほしいと考えて開発している」と語る山田氏は、最後にガッコムへの利用者からの投稿情報などから算出した統計データとして、中学校における校則や修学旅行先、小学校の運動会が開催される季節の傾向などをいくつか紹介してセッションを締めくくった。

◆        ◆        ◆

 CIVIC TECH FORUM 2021では、約50組の発表者が活動を報告した。運営側では登壇者と視聴する参加者が交流できるオンライン上の質問コーナーや交流スペースを設けたり、YouTubeLiveのコメント欄にその場で書き込んで参加者同士がやりとりしたりする工夫を凝らしていた。当日のプログラムは「CIVIC TECH FORUM 2021」のサイトから動画視聴が可能だ。