「地域のハブ」が自然と「福祉やまちづくりの拠点」に

 Happy代表取締役の首藤義敬氏は、福祉・介護とまちづくりの在り方について語った。Happyは神戸市長田区の六間道商店街で、多世代型の介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」を運営している。「年齢を重ねても人と関わることをあきらめたくない」という人をターゲットにしており、シェアハウスの事業計画から100人以上の地域住民と議論を重ねながら進めたことが特徴だ。首藤氏も家族とともにこのシェアハウスで暮らしている。

多世代型の介護付きシェアハウスを運営するHappy代表取締役の首藤義敬氏(画像下中央)。右下が「福祉実験ユニット」を掲げるヘラルボニーの松田崇弥氏(代表取締役社長CEO)、右上が松田文登氏(代表取締役副社長COO)
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 「実は、福祉や介護に携わることを最初から考えていたわけではない」と打ち明ける。「自分と自分の子供にとって一番いい暮らしは何かな、と考えた。子どもにとっては、いろんな大人に会えたほうがいい」(首藤氏)。

 高齢者らが入居するほか、フリースペースには日々、国籍を含めて多様な人が出入りしており、その数は1週間でおよそ200人にもなるという。通常の介護施設の姿はまったくイメージしにくいところが特徴だ。「シェアハウス自体には看板もないし、ホームページもない。同じ価値観の人が勝手に集まってきているというのが現状だ」と首藤氏は説明する。

 ファシリテータを務めたNPO法人Ubdobeの岡勇樹代表理事から福祉を通じたまちづくりのことを問われると、首藤氏は「まちづくりという言葉を意識しているわけではないが、『まちの関係性』をつくるということは意識している」と回答した。

 「シェアハウスに遊びに来る人が、認知症の高齢者と普通に話をしていたりする。後になってそれを知ると、『まじで?普通やん』と、みんなびっくりする。一発目のきっかけをつくることが大事だと思う。こうやって(シェアハウスが)地域のハブとなって関係性を結んでいるのだが、それは外から見ると福祉やまちづくりに見えるのかもしれない」(首藤氏)

 視聴者からのコメントには、「ほかの地域にもあるといい」という声があった。これに対して首藤氏は「同じものを作っても意味がない。いまのシェアハウス(ろっけん)には、この地域の文脈がある。『その地域だからこそ』のものを手掛けることに意味がある」と返した。

 「今までの日本は、属人性がないものを並列化してきた。でも、もうそういうものは必要ない。属人性を上げることが必要で、それが福祉でありまちづくりではないか。もし私がほかの地域で実行するとしたら、今のシェアハウスとはまた違ったものになるだろう」(首藤氏)