<新連載>
SDGs達成に取り組む自治体が徐々に増加している。達成には、むやみに多くの目標を立てるのではなく、各地域の特性を踏まえた社会課題を見極めることが肝要だ。そこで、当連載ではSDGsに関する特徴的な取り組みを進める各自治体で、現場に携わる職員の方々を訪ね、SDGs達成に向けた工夫やプロセスなどを紹介していく。

連載の第1回は東京23区の自治体で初めて「SDGs未来都市」に選定された豊島区。2020年7月、SDGsへの優れた取り組みを行う自治体として内閣府より2020年度「SDGs未来都市」と自治体SDGsモデル事業にダブル選定された。推進中のSDGsモデル事業の内容や、庁内各部署の連携の様子を担当者に聞いた。

豊島区政策経営部 「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室長 安達絵美子氏(左)と豊島区政策経営部企画課SDGs未来都市推進グループ主任 立原直樹氏(右)(写真:シティラボ東京)

――豊島区ではどの部署がSDGsを所管しているのですか。

立原 現在は私の所属している政策経営部のSDGs未来都市推進担当課が担っています。庁内全体に「SDGsの視点を入れて事業を考えよう」という働きかけをし、部局間の相互調整をするのが当課の役割です。区長(高野之夫・豊島区長)の指示で「SDGs未来都市」へ応募することになり、政策経営部内に急遽設置されたのです。当初はSDGs未来都市調整担当課の名称でした。今年4月に推進担当課に名称が変わり、より具体的にSDGsに関わるセクションとなりました。

  2020年7月に内閣府から「SDGs未来都市」への選定をいただき、10月にSDGsの理念を踏まえた持続可能なまちづくりを公民連携により推進するため「としまSDGs都市宣言」を制定しました。

――区が目指す都市像とは、どのようなものですか?

立原 豊島区は2014年に、日本創成会議から東京23区で唯一「消滅可能性都市」として指摘を受けました。20歳から39歳までの若年女性人口が、今後30年で半減するという推計によるものです。これを受け、2015年に「子どもと女性にやさしいまちづくり」「高齢化への対応」「地方との共生」「日本の推進力」という4つの柱を据え、文化に基軸を置いて持続発展する「国際アート・カルチャー都市」を目指す構想を策定。公園などのハード面の整備、また文化をはじめとするソフト面の事業展開を組み合わせ、区として総合的に施策を推進してきました。

 「国際アート・カルチャー都市」が目指す都市像とは、文化を振興するだけでなく、地域資源や特性を活かし、公民連携により多様な主体とともに展開しながら街の魅力を高めていくもの。これにより、新たに住みたい人・訪れたい人・住み続けたい人を増やして地域経済を活性化し、その税収増を区民サービスに還元して好循環を生み出す考え方です。今にして思えば、この内容は"誰ひとり取り残さない"というSDGsと目指す方向性は共通していますよね。区が目指す都市像が最初に明確にあり、それがSDGsと重なっていたとも言えると思います。

消滅可能性都市から持続発展都市へのロードマップ・イメージ(豊島区「としまSDGsチャレンジブック」より)
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