「Beyond Health」2022年6月28日付の記事より

 千葉県柏市柏の葉にある国立がん研究センター東病院(以下、東病院)は、国内トップクラスのがん病院として知られる。2022年7月1日、その敷地内に「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」(以下、パークサイドホテル)がオープンする。

 東病院には国内外各地から数多くのがん患者や家族が訪れる。それゆえ宿泊施設に対するニーズは多いが、最も近い柏の葉キャンパス駅周辺のホテルからは車で7〜8分ほどかかるのがネックとなっていた。

左が東病院、右がパークサイドホテル(出所:三井不動産)
左が東病院、右がパークサイドホテル(出所:三井不動産)
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 パークサイドホテルは東病院に隣接した環境でがん患者と家族が安心・安全に過ごし、利便性の向上を図ることを目的とする。本プロジェクトは2020年6月に発表されていたもので、そこから2年をかけて東病院と三井不動産グループが共同で準備を重ねてきた。モデルとなったのは米テキサス州ヒューストンにあるMDアンダーソンがんセンターだ。全米一とも言われる同センター周辺にはたくさんのホテルがあり、患者の通院負担を減らす工夫がなされている。

病院とホテルを結ぶ送迎車(出所:三井不動産)
病院とホテルを結ぶ送迎車(出所:三井不動産)
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 また、柏の葉には東京大学、千葉大学、産総研などの大学・研究機関が集結しており、産官学の協力体制のもとで「柏の葉スマートシティ」の計画を進めてきた。2008年には街づくりの指針となる「柏の葉 国際キャンパスタウン構想」を策定。「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマを掲げ、日本が抱える課題を解決するモデルシティを目指している。今回のホテル開業はこうした大きな枠組みの中で生まれたもので、病院とホテルとのシームレスな連携は国内では初の取り組みとなる。

大学や研究機関が集結する柏の葉周辺(出所:三井不動産)
大学や研究機関が集結する柏の葉周辺(出所:三井不動産)
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 2022年6月20日にはメディア向けの内覧会が開催され、その全貌が明らかになった。客室は全145室、約22~約60平米まで全7タイプを用意する。宿泊客にはレジャーや周辺施設へのビジネス用途も含むため、一見すると普通のホテルのようだが、随所にがん患者向けのサービスがあるのが特徴だ。

 2階には東病院の病院外来拡張エリアを配置。10部屋の診療室を設け、東病院の医師が診療にあたる。医療行為はできないため、おもに遠隔診療やセカンドオピニオンがメインになる。林隆一副院長は「東病院は月平均で約150件のセカンドオピニオンの相談を受けている。いずれはここに集約することで効率化を図っていく」と話す。なお、東病院内にもパークサイドホテル専用の予約ブースがあり、診療日にあわせた円滑な予約が可能となっている。

2階にある外来拡張エリア(出所:三井不動産)
2階にある外来拡張エリア(出所:三井不動産)
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 ホテルには専任のケアスタッフが24時間常駐。各客室の電話には直接ケアスタッフにつながる呼び出しボタンがあり、患者の緊急時には速やかに病院と連絡を取り合う。ホテルスタッフも東病院からがんに関する基礎知識を習得して接客サービスにあたるという。客室は車椅子やストレッチャーを想定した余裕のあるつくりで、一部客室にはオストメイト対応トイレ、中長期滞在者向けの自炊用キッチン、洗濯機などを装備した。

ケアスタッフが24時間常駐。時間帯によっては健康相談にも対応(出所:三井不動産)
ケアスタッフが24時間常駐。時間帯によっては健康相談にも対応(出所:三井不動産)
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客室の電話にはケアスタッフに直接つながる呼び出しボタンを装備(写真:小口 正貴)
客室の電話にはケアスタッフに直接つながる呼び出しボタンを装備(写真:小口 正貴)
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車椅子で移動できるように余裕を持ったスペースを確保(写真:小口 正貴)
車椅子で移動できるように余裕を持ったスペースを確保(写真:小口 正貴)
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