スマートフォン向けのゲームや球団運営で広く知られるディー・エヌ・エー(DeNA)。2014年から公民連携のプロジェクトとして、公立小学校でプログラミングの教育事業に取り組んでいる。同社は現在、同事業を企業の社会的責任(CSR)活動の一環として、無償で推進している。同社のプログラミング教育事業の担当者である、デライトドライブ本部CSR・ブランディング推進室の末廣章介氏に、その狙いや取り組みを聞いた。

指示待ち人材にうんざり

CSR・ブランディング推進室の末廣章介氏(写真:日経BP総研 クリーンテックラボ)
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CSR・ブランディング推進室の末廣章介氏(写真:日経BP総研 クリーンテックラボ)

――プログラミング教育事業を始められた経緯や狙いについて教えて下さい。

  弊社ファウンダーで会長の南場(智子)は、弊社に応募してくれる人材が“間違えない達人”ばかりだということを問題視していました。優秀であっても、型にはまった大人しい学生が多かったのです。ビジネスの世界は激しく変化していきます。そこで“間違えない達人”よりも、創造力を持ち、物事を変革できる人材を採用したいと考えていました。そのような問題意識を持っていた中で、これからの人材をどう育てていくかという話をしていたときに、IT企業の弊社が、プログラミング教育をやっていくべきなのではないかという議論になりました。プログラミングで「ものをつくっていく」という作業には正解がありません。友達とコラボレーションしながら、物事をつくり出すというところにフォーカスした教育をしていくと、これからの日本のためにもなるのではないかと考えたのです。

  なぜ公立小学校で行っているかというと、やはり日本全体としての底上げをしたいという思いがあるからです。一般的にこれまでのプログラミング教育は、プログラミングに興味のある特定の子どもたちを対象に行われてきました。我々は「IT人材を育てる」ということを目標にしていません。これからの将来を担う子どもたちに等しくプログラミング的な素養を持たせたいと考えています。

  小学校低学年では論理的な思考が未発達で、プログラミング教育は難しいのではないかとも言われています。しかし、9~10歳くらいまでに研ぎ澄まされる感覚は、とても鋭いものです。その原体験が得られる年代にフォーカスして、プログラミング教育をさせてくださいと学校側にはお願いしました。

  2014年に実証実験を佐賀県武雄市で始めたことが、プログラミング教育事業開始のきっかけです。武雄市では児童1人に1台ずつタブレットが支給されています。その後、横浜DeNAベイスターズとの関連もあり、横浜市でも2015年からプログラミング教育事業を開始しました。弊社の本社がある東京都渋谷区でも、児童1人に1台ずつタブレットを導入することとなり、2017年から弊社のプログラミング教材を提供し、一緒にプログラミング教育を行っていくこととなりました。渋谷区と弊社はシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー(S-SAP)協定という包括協定を結んでいて、地域貢献や社会貢献だけでなく、公教育にも貢献させていただいています。

渋谷区立千駄谷小学校で2017年10月19日に実施した授業の様子(写真:日経 xTECH)
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渋谷区立千駄谷小学校で2017年10月19日に実施した授業の様子(写真:日経 xTECH)