駅近の高架下にテレワーク用のシェアオフィス

 最後にプレゼンした阪口氏が市長を務める高石市は、「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を目指すウォーカブル推進都市の1つであり、市民の健康活動にポイントを付与する「健幸ポイント事業」を実施している(関連記事)。プレゼン冒頭では、新型コロナの緊急事態宣言の最中に、マスク着用、ソーシャルディスタンスというルールを守りながら市内をウォーキングする高齢者の動画とともに、国民健康保険の医療費伸び率が、健幸ポイント事業が本格的にスタートした2014年の108.4%から2019年には99.42%まで改善したことが紹介された。

高石市の健幸ポイント参加者数と国民健康保険医療費の伸び率(資料:高石市)
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 高石市ではAfterコロナ時代に備えて、南海本線羽衣駅の高架下にテレワーク用シェアオフィスの設置を検討している。「(コロナで出社できないので)仕事を家に持ち帰っても、なかなかはかどらないことが多い。そこで、駅前にITの環境を整えたワークスペースを用意することを考えた。(大阪府南部にある高石市は)大阪市中心部への通勤と逆方向になるので電車も空いている。近隣の人たちにも、ぜひ利用してもらいたい」(阪口氏)。高架下以外に、既存の公共施設などもシェアオフィスの候補になっているという。

高石市のAfterコロナにおける新しいまちづくり(資料:高石市)
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首都圏近郊の自治体にとってはチャンスにも

 シンポジスト4人のプレゼンの後にコメントを求められた宇野氏は、新型コロナを「正しく恐れる」重要性に言及した。「Withコロナの基本戦略は、各自がしっかり健康管理するとともに、検査体制を充実させて無症状者を含めた感染者を隔離することだ。重要なのは重症患者を減らして医療崩壊を防ぐことであり、(十分な検査もしないまま)全員に外出自粛を求めたり、社会活動を抑制したりするのは間違っていると思う」(宇野氏)。

 新型コロナによるテレワークの増加は、宇野氏が副知事を務めた茨城県のような首都圏近郊の自治体にとって地域再生のチャンスとなる可能性もある。「地域内に散在する小さな公共空間は、3密を回避するオープンスペースになる。これを活用するのが1つの方向になるだろう」(宇野氏)。