在宅医療関連の2つの学会が、今年5月に合併して発足した日本在宅医療連合学会が、7月14・15日に東京で第1回大会を開いた。大会のテーマは「ひとつになる」。医療、福祉、介護に自治体も加わった連携、さらには将来のまちづくりも視野に入れて、プログラムが組まれた。その中から公民連携と深く関わる発表や講演を紹介しよう。

開会式で挨拶する大会長・社会医療法人財団大和会東大和ホームケアクリニック院長の森清氏(写真:井上俊明)
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 公民連携を直接テーマに掲げて行われたのが、「地方行政/地区医師会と在宅医療が連動/連携する活動」のポスターセッション。例えば岡山市医療政策推進課地域ケア総合推進センターの高木由里氏は、「岡山市における在宅医療提供体制の構築に向けた新たな取り組み」と題して発表した。

 急性期型の病院が多く、診療所開業医の高齢化や在宅医療の需要増加もある中で、岡山市は医師会や地域の病院とともに診療所開業医が在宅医療に新規参入しやすい仕組みづくりに取り組んだ。モデル地区を2つ選んで、ワーキンググループを設置して課題を検討し、対策を講じたのだ。

 具体的には、1.診療所をグループ化して主治医が不在の場合に補完できる体制を構築、2.各地域の中規模病院に在宅患者を登録し、状態が急に悪化した場合に受け入れる体制を整備、3.専門医療機関によるバックアップ体制づくり、4.市と医師会が共同で、在宅医療参入への動機づけを目的とする研修を実施、5.市の地域ケア総合推進センターの退院支援機能の強化――など。

 2月に実施した4の研修には、14人の参加者があったという。高木氏は、「在宅医療の“ハードル”を下げて新規参入を増やしていく。様々な医療・介護関係者が加わる“重層的な連携”を、目に見える形にしたい」と話した。

連携推進計画で共通理解が進む

 「連携が進んでいると胸を張っていえる」――。こう語って「地域一体で支える豊田市の在宅医療」について発表したのは、豊田地域医療センターの鈴木重良氏。豊田市は急速な高齢化の進展と在宅療養ニーズの増加をにらみ、豊田加茂医師会、同歯科医師会、基幹病院、福祉関係団体などで構成する連携推進会議を設け、市に事務局を置いて在宅医療・福祉の充実に取り組んでいる。

 2018年3月に策定された「豊田市在宅医療・福祉連携推進計画」に盛り込まれた、その具体的な内容は表に示す通りだ。

豊田市在宅医療・福祉連携推進計画の主な取り組み
(出所:豊田市)
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 市と医師会が連携しつつ運営している医師会立の在宅医療サポートセンターと、公益財団法人・豊田地域医療センターが中心となり、それぞれ在宅医療に取り組む医師の“裾野”を広げるための研修や在宅医療のスタート支援、藤田医科大学に設けた寄付講座による総合診療医の養成などに取り組んできた。2019年度からは、豊田地域医療センターで訪問看護師の育成も手掛け始め、15人がプログラムに参加。この4月には、寄付講座の修了者から市内で在宅医療の診療所を開業する医師も出た。

 特徴的なのは、オンライン診療やロボットを活用した地域リハビリテーションといった、先進技術を活用している点。発表した鈴木氏は、連携推進計画によって関係者の共通理解が進み、在宅分野の「基盤強化や効率的運用がうまくいっている」と話し、今後も強固な連携に基づき在宅療養の向上を図る意気込みだ。

 一方、山口県下松市の社会医療法人同仁会周南記念病院事務部の岡貴之氏は、「行政と民間病院の連携による在宅事業部設立に向けて」と題して発表した。周南記念病院は、専門の病棟を開設するなどして地域包括ケアへの取り組みを進めていたが、在宅医療の推進は後手に回っていた。しかし、病院併設の訪問看護・介護ステーションの利用者が横ばいだったこと、試験的に始めた退院患者への訪問リハビリテーションで効果が見られたことなどから、2018年度より在宅医療に本腰を入れることにしたという。

 だが、下松市内の在宅医療体制は未整備だった。そのため、自院の在宅医療提供体制を地域包括システムに組み込むことを下松市に提案、市および山口県と協議会を立ち上げ、以後話し合いながら在宅医療提供体制の整備を進めた。2019年1月には、年中無休で在宅患者を受け入れる「在宅療養後方支援病院」となったのを機に、地域の診療所を訪問して在宅医療の広報活動を実施。さらに内科医のほか緩和ケアに詳しい麻酔科医なども加え、7人からなる「在宅事業部」チームを設け、在宅まで視野に入れた医療提供を院内にアピールした。

 岡氏は、「協議を重ねることで、行政も在宅医療に前向きになってくれた。退院患者を施設ではなく在宅に移行させ、シームレスな連携を目指したい」と抱負を語った。

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