「フレイル予防」「リハビリ」「地域看護」など、様々な切り口でシンポジウムが開催された「まちづくり」(下の表)。それらのうち、公民連携と密接な取り組みが報告されたセッションとして、まずシンポジウム29「独居高齢者等の在宅看取りが可能となるまちづくり」が挙げられる。

第1回大会で開催された54のシンポジウムのうち、タイトルにまちづくりを含むもの(学会抄録より)
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 この中で多摩市役所の伊藤重夫氏は、急速に高齢化が進む多摩ニュータウン団地での実践例、多様な主体による「多摩市永山モデル」について、協働している医療法人の職員2人と共同で発表した。

年6000件の相談が窓口に

 2000年に約10%だった多摩市永山地区の高齢化率は、2019年には33.6%に達し、20%超が一人住まいの高齢者世帯となった。そこで、多摩市は団地内の商店街に地域包括支援センターを移転させ、同時に「高齢者見守り相談窓口」を設置、独居高齢者らの支援体制強化を図った。具体的には、 1.1年間で約5000の全高齢者世帯を個別に訪問し、安否確認と生活実態を把握 、2.孤立対策事業への参加の支援、3.市民による見守りの強化、4.在宅医療・介護連携の推進、などを実施した。

多摩市永山地区での高齢化の進展状況
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(多摩市役所・伊藤重夫氏らの講演資料より)

 成果としては、まず年間6000件の様々な相談が窓口に寄せられたことがある。また1では、4000人を超える高齢者の実態を把握し、必要な場合は医療機関などに紹介して疾病の重症化予防につなげた。3では65人の見守りサポーターを養成。こうした取り組みにより、自治会、NPO、介護保険事業者団体などとの新たな連携が生まれ、独居高齢者の無縁化を防ぐことにつながっているという。

 シンポジウム46「リハビリとまちづくり」では、荒川区健康部健康推進課の尾本由美子氏が、2002年から東京都立保健科学大学(現首都大学東京)や区民モニターなど、官学民で開発した高齢者の脚力低下を防ぎ転倒を防止するための「ころばん体操」の効果について報告。区民が自主的に実施している会場を含め、現在では70歳代を中心に年間のべ8万人が参加するまでになった。荒川区民の健康寿命は、2006年から2017年までの11年間に、男性が0.8歳、女性が0.9歳、それぞれ延伸しており、「ころばん体操」はこれに寄与したとみられている。

 荒川区ではその後も、バンドを使って筋肉トレーニングなどを行う「せらばん体操」やそれを椅子に座って行う「ちぇあ」ばん、さらに子供や若い世代向けの「あらみん体操」といったオリジナル健康づくり体操を開発し、普及を図ってきた。「幸福実感都市あらかわ」のスローガンの1つに掲げる、「生涯健康都市」づくりの方策として取り組んでいる。

 在宅医療・介護にかかわる様々な職種約5000人が参加して、活発な議論を繰り広げた第1回日本在宅医療連合学会大会。次回は来年6月下旬に、名古屋市で開催される。