産学官連携で異色の「健康づくり」

 2020年2月25日、矢巾町と岩手医科大学のほか、付属病院敷地内に「岩手医大前薬局」を設置する日本調剤、健康機器のタニタヘルスリンク、フィットネス機器のテクノジム、施設管理のドリームゲートが、ウェルベース矢巾を健康づくりの拠点とし、医療費や介護費用の増加抑制を図ることを目指し、「矢巾町健康増進施策事業の連携・協力に関する包括協定」に調印した。産官学によって地域の健康を底上げする異色の事業になる。

 3月1日、ウェルベース矢巾はプレオープンし、新型コロナウイルス感染症の影響もあって4月15日にグランドオープンになった。日本調剤の薬局と同じ1階にウェルベース矢巾はある。中に入ると、トレーニングのための機械やヨガなどができる部屋が設けられているが、サイズは大きくはない。前述の通り、施設はあくまで拠点であり、運動の場はこの施設に縛られることがない。

「健康プラザコスモス館」の1階にあるウェルベース矢巾のトレーニングルーム
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 「緊急事態宣言があり、逆にコロナの中で何ができるのか、考えた」と吉岡氏は言うが、ウェルベース矢巾が取り組んだことの一つが「青空ヨガ」だ。施設の外で、ヨガをするもので、参加者を募って、みんなでヨガをした。これはウェルベース矢巾の示す、これからのフィットネス事業の将来をある意味で象徴するものだ。

 ウェルベース矢巾が施設に頼らないことを言い換えれば、ハードウエアよりもソフトウエアとしての機能に注目しているということになるだろう。ウェルベース矢巾では個人ごとにメニューを作って、データに基づいて指導を行える仕組みを整えている。設置しているフィットネスマシンは、オリンピックのサプライヤーであるイタリアのテクノジム社という世界有数のメーカーのものだが、特徴はフィットネスに取り組むと、運動回数や消費カロリーなどトレーニングを見える化できる点だ。さらに、事業に参加するタニタヘルスリンクの体組成計を設置しており、体のデータも取れるようにし、データを基にした運動指導ができるようにしている。

 さらに、柔道整復師や元救急隊員などが運動指導に当たり、医療連携によって、医師のアドバイスも受けられるようにする。厚生労働省が認可する健康増進施設、指定運動療法施設の認定を受ける予定で、医療控除の対象になる見通し。施設を拠点として、こうしたデータやアドバイスといったソフトウエアを利用可能とし、人々の健康づくりへのインセンティブをつくり出しているのがポイントとなる。