「ゲリラ的な検査」を構想

 ずばり、予防サービス(フレイル/生活習慣病)においてモビリティを活用する狙いは、「どこでも参加できる仕組みを構築する」(フィリップス・ジャパン Solution CoE ソリューション事業推進部マネジャーの望月佑帥氏)ことにある。高齢者の社会参加の機会や場が少なく閉じこもりがちであることや、特定健診受診率が低迷している現状に対し、モビリティの活用により高齢者や働き盛り世代への簡易ヘルスチェックを提供しようというわけだ。

 実際、予防については個人の意識にかかわる部分が多く、「健康に興味がある人は予防にも気を配るが、興味がない人はほとんど気にしない」(望月氏)。そこで、自治体と連携し近隣の集会所など生活圏内の様々な場所で簡易ヘルスチェックを実施することで、従来健康意識が低かった人たちへの意識改善を目指す。

 例えば、近隣の集会所など、ある程度のスペースを有する場所を借りつつ、そこに機材などを搭載した専用モビリティを併用して簡易ヘルスチェックを実施する、というのが想定する基本スタイルだ。2021年6月末に浪岡総合保険福祉センターで実施された簡易ヘルスチェックは、この方式。約10人の高齢者が簡易ヘルスチェックに参加していた。

浪岡総合保険福祉センターで実施された簡易ヘルスチェックの様子
浪岡総合保険福祉センターで実施された簡易ヘルスチェックの様子
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 ただし、場合によっては「もっとゲリラ的なやり方もある」と望月氏は言う。具体的には、スーパーの駐車場に専用モビリティを持ち込んで検査スペースを設営。買い物目的でスーパーを訪れた人たちに検査を受けてもらうといった手法だ。つまり、もともと簡易ヘルスチェックが目的ではなく、たまたま買い物している人に“偶然の出合い”の機会を与えようというわけだ。現時点ではまだアイデアベースの話だが、「専用モビリティにはテントを設営する設備も装備しており、特別な会場などがなくても実施できるように準備している」(望月氏)という。

専用モビリティを用いた簡易ヘルスチェックのイメージ
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専用モビリティを用いた簡易ヘルスチェックのイメージ
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専用モビリティを用いた簡易ヘルスチェックのイメージ

 なお、専用モビリティが完成する以前の2020年度から、簡易ヘルスチェック自体は先行して青森市の浪岡地区や青森市の青森トヨペット(3つの店舗と本社の計4か所)で実施してきた。基本的に「同じ場所で最低4回は開催する」(望月氏)ことにしており、同一人物の継続的なデータ変化も蓄積できるようにしている。実際、参加者の中には既に2回目の検査を受けた人も出始めているという。

 参加者が検査の回数を重ねていくことも、今回のプロジェクトでは重要なポイントになるとする。「前回や前々回との比較で結果が良くなっていれば嬉しいし、悪くなっていればもう少し気を付けようという気分になるのが人の心理」(望月氏)だからだ。このような仕掛けによって、人の気持ちや行動の変化、すなわち行動変容を促す狙いだ。