三井不動産社長の菰田正信氏(写真:神近博三)
[画像のクリックで拡大表示]

 「東京・日本橋の川沿いにある5つの地区で、敷地面積約2万坪、延べ床面積にして約37万坪の再開発を計画している。これは港区六本木の(当社が開発した)東京ミッドタウンの2倍の開発規模になる」(三井不動産社長の菰田正信氏)――。三井不動産は2019年8月29日、「日本橋再生計画第3ステージ」の構想・施策に関する記者発表会を開催した。オープニング映像に続いて登壇した菰田氏は、第3ステージの重点構想として「豊かな水辺の再生」「新たな産業の創造」「世界とつながる国際イベントの開催」の3つを挙げた。

再開発後の日本橋(イメージ)。江戸橋から室町1丁目の親水空間を望んだところ(出所:三井不動産)
[画像のクリックで拡大表示]

 このうち「豊かな水辺の再生」は、日本橋の川沿いに商業店舗、広場、オフィス、アコモデーション(宿泊)施設などを展開、川に面した親水空間にフェスティバルやカンファレンスを開催できるアートやいこいの空間を整備していく。日本橋地区では今後10~20年ほどをかけて現在は高架の首都高を地下に移設する計画も進められている。これが実現すれば第3ステージの「豊かな水辺の再生」との相乗効果で、最終的に「川幅約100m、長さ約1200mの広大な親水空間が東京駅の近くに生まれることになる」(菰田氏)。さらに、日本橋を起点として北は浅草、南は豊洲やお台場を船でつなげる水運の回遊性によって通勤、観光、ビジネス、商業の利便性を高め、日本橋地区の価値向上につなげていく。

再開発後の日本橋の川沿いの賑わい(イメージ)(出所:三井不動産)
[画像のクリックで拡大表示]
第3ステージで開発する日本橋の川沿いの5地区(出所:三井不動産)
[画像のクリックで拡大表示]

 「新たな産業の創造」は、江戸時代から薬種問屋が集積していた日本橋ならではの「ライフサイエンス」に加えて、「宇宙」「モビリティ」「食」を戦略カテゴリーとして、ソフト、ハードの両面から産業の成長をサポートする。

 このうちライフサイエンス領域は、既ににライフサイエンスに特化した賃貸オフィスを整備し、産官学の連携・交流の場となる社団法人LINK-J(ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン)の設立に協力してきた。「宇宙」についても、宇宙ビジネスの拠点となるコ・ワーキングスペース「X-NIHONBASHI(くろすにほんばし)」を日本橋地区に2019年春に開設。「食」は日本橋の老舗企業と産官学のコラボレーションによって、日本橋発の新しい食のカルチャーを発信することを計画している。

 「モビリティ」については「東京駅に近く、羽田空港、成田空港へのアクセスも容易な日本橋はMaaS(Mobility as a Service)の都市実装に最適な場所。様々なパートナーとの実験を繰り返して、新たな移動サービスをこの街から提案していきたい」(菰田氏)と説明した。

 「世界とつながる国際イベントの開催」は、三井不動産が日本橋地区に所有する複数のホール・カンファレンスと公共空間を連携させて、「SXSW(South by Southwest)のように街全体がイベント会場となるビジネスとエンターテインメントが融合した国際的な発信力のある大型イベントを数多く開催していきたい」(菰田氏)としている。

 三井不動産の日本橋再生計画は、バブル崩壊以降停滞していた日本橋地区に賑わいを取り戻すとして2004年にスタートし、これまでCOREDO室町1、同2、同3など商業施設とオフィスを融合させた複数の大型物件を開発してきた。今回の第3ステージの構想・施策発表は、第2ステージ最後の開発案件である日本橋室町三井タワー(COREDO室町テラス)が2019年3月に竣工し、その商業スペースが2019年9月オープンして一区切りつくことを受けたものとなる。