宇宙ビジネスの交流拠点がオープン

 民間とも連携する。その1つが、2021年2月に誕生した一般社団法人おおいたスペースフューチャーセンター(OSFC)だ。OSFCは、宇宙港や衛星データの活用といった、宇宙ビジネスに関する調査研究などを行っている。

 衛星データの用途は、インフラのモニタリング、建設機械・農業機械の自動走行、石油備蓄量の分析、ドローンによる無人配送など多岐に渡る。

 OSFCは2021年3月、大分市の中心部、トキハデパートの近くに宇宙ビジネスの交流拠点「スペース・ベース“Q”」をオープンさせた。セミナーを開いて情報を提供するなどしている。宇宙ビジネス参入を目指す会員から、OSFCが相談を受けることもある。

 専務理事を務める高山久信氏は大分県出身。三菱電機とそのグループ会社で、宇宙営業部門の統括などの経験がある。

開放的な雰囲気の「スペース・ベース“Q”」(左)と、おおいたスペースフューチャーセンター(OSFC)の高山久信専務理事(写真:中川 美帆)
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開放的な雰囲気の「スペース・ベース“Q”」(左)と、おおいたスペースフューチャーセンター(OSFC)の高山久信専務理事(写真:中川 美帆)
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開放的な雰囲気の「スペース・ベース“Q”」(左)と、おおいたスペースフューチャーセンター(OSFC)の高山久信専務理事(写真:中川 美帆)

ホーバークラフト復活でアクセス改善

 実現すれば「アジア初の水平型対応の宇宙港」という特徴のある大分空港だが、課題も抱えている。一番は、アクセスの悪さだ。空港には鉄道でアクセスできず、大分市中心部にある大分駅までバスで1時間ほどかかる。これでは国内外から人を集めるのに都合が悪い。この点については、宇宙港の議論とは別に、県では対策を検討してきた。

 検討の結果、県はかつて別府湾を運航していた空気浮揚艇「ホーバークラフト」を復活させることにした。別府湾を横断できれば陸路で遠回りせずに済む。だが、かつて運航していたホーバークラフトは、運営する第三セクターが経営破綻して2009年に運航を終えていた。維持管理費の上昇に加え、2008年のリーマン・ショックに伴う利用者の減少が響いたためだ。

空港アクセスバスは、別府湾に沿ってぐるりと迂回する形で空港と大分市内を結ぶ。大分駅までの大人運賃は片道1550円(2021年9月時点)(写真:中川 美帆)
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空港アクセスバスは、別府湾に沿ってぐるりと迂回する形で空港と大分市内を結ぶ。大分駅までの大人運賃は片道1550円(2021年9月時点)(写真:中川 美帆)
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空港アクセスバスは、別府湾に沿ってぐるりと迂回する形で空港と大分市内を結ぶ。大分駅までの大人運賃は片道1550円(2021年9月時点)(写真:中川 美帆)

 県は、改めてホーバークラフトの採算性などを検討したうえで、県が船舶購入・貸与と発着地の整備などを行い運行を民間に委託する「上下分離方式」で復活させることを2020年に決定。運航事業者は審査の結果、タクシー業を中心に全国展開する第一交通産業(北九州市)にすることが同年11月に決まった。

 大分市側の発着地は、市の中心部に近い西大分地区に設ける。旅客ターミナルを設計する事業者は、藤本壮介建築設計事務所(東京都)と松井設計(大分市)の共同企業体(JV)に決定。県が2021年2月24日に公表した。17事業者が応募した1次審査を経て、2次審査に進んだ6事業者の中から選んだ。

 同JVの提案によると、大分市側のターミナルは、宇宙港のイメージに合わせ、空に向けて緩やかに屋根が高くなるようなデザインにしている。今後、変わる可能性もあるが、提案では1階は物販や待合スペース、2階は郷土料理も味わえるカフェ、屋上は別府湾を望めるようになっていて、県産の木材を使う。ホーバークラフトの乗降客だけでなく、地域住民の日常利用も想定している。

 大分市側と大分空港の両ターミナル、立体駐車場、ホーバークラフトを入れる艇庫(ていこ)の設計委託料は総額約7000万円、建設費は設計内容で左右されるため未定。施工会社は今後決める。

 ホーバークラフトは、早ければ2023年度中に運航が始まる。両ターミナル間の所要時間は約25分間で、バス利用時のおよそ半分になる。県は、ホーバークラフトの利用者を年30万~40万人台と想定。3隻の船舶の購入費や、発着地の整備費などとして、75億~85億円の県負担を見込む。大分県によると、運賃は片道1500円を第一交通産業が提案しているが、現状では未定。運航開始の直前ごろ正式に決まる見通しとのことだ。