「新・公民連携最前線」は2016年4月11日~6月3日に、合併特例債を発行可能な全551自治体(発行期限を過ぎた自治体も含む)を対象に活用状況の調査を実施した。回答自治体は278団体・回答率50.5%だった。調査結果から見えてきた各自治体の起債の実績や今後の発行計画について、その全体像や費目別の内訳、事業規模による自治体順位、公民連携(PPP/PFI)・地方創生への適用状況などを報告する(調査概要はこちら)。

 合併特例債の発行が可能なのは2000年度から2005年度に合併した市町村である。当初、起債が可能なのは合併年度とそれに続く10年度とされたが、2011年3月の東日本大震災の発生を受け、新・合併特例法の法改正により期限は二度にわたり延長された。現在は、被災市町村は合併年度とそれに続く20年度、被災市町村以外は合併年度とそれに続く15年度が期限となっている。このため、被災市町村は最長で2025年度、それ以外の市町村は最長で2020年度が、それぞれ発行の期限となる。総務省のデータを見ると、2004~05年度に市町村合併が集中している。従って2019~20年度に特例債の発行期限を迎える自治体も多い、ということになる。

回答自治体の2015年度までの起債額は3.5兆円

 まずは、2015年度までの合併特例債の起債状況を見ていこう。

 2015年度までに起債上限額のどのくらいの割合まで起債を済ませたかを示したのが図1である。発行期限年度となる団体数が極めて多い2019年度・2020年度まで、まだ3年超の時間が残されているが、回答団体のほぼ半数(50.4%)は、上限金額の60%超を起債済みと回答した。上限額の40%以下までしか起債していない(まだ60%以上を残している)団体は53団体、全体の19.2%にとどまった。

図1●起債上限額に対する2015年度までの起債額の比率の分布 (N=276)
(資料:新・公民連携最前線)
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 上限額の80%超を起債済みの団体は58団体(回答団体の21%)。そのうち上限額の95%超を起債済みと答えた団体は16団体あった(表1)。新潟市、富山市、静岡市、中能登町はすでに上限額に達している。

表1●起債上限額に対する2015年度までの起債額の比率が95%超の団体
1 新潟県新潟市 100.0%
1 富山県富山市 100.0%
1 静岡県静岡市 100.0%
1 石川県中能登町 100.0%
5 神奈川県相模原市 99.9%
6 石川県かほく市 99.9%
7 群馬県前橋市 99.7%
8 長野県長野市 99.6%
9 山梨県甲府市 99.6%
10 岐阜県多治見市 99.3%
11 大分県大分市 99.0%
12 鹿児島県鹿児島市 98.2%
13 沖縄県八重瀬町 97.7%
14 岐阜県瑞穂市 96.9%
15 富山県高岡市 96.4%
16 岩手県遠野市 95.2%
(資料:新・公民連携最前線)

 一方、上限額に対する2015年度までの累計起債額の比率が低い上位50団体を示したのが表2である。起債済みの金額が上限額の30%以下の自治体は30団体、上限額の20%以下は14団体ある。1割以下にとどまっている自治体は5団体だった。もちろん、全自治体が上限額いっぱいまで起債するわけではない。充当率が100%の辺地対策事業債や過疎対策事業債の発行を優先したことから、合併特例債の起債済み金額の比率が低い自治体もある。

表2●起債上限額に対する2015年度までの起債額の比率が低い上位50団体
1 愛知県岡崎市 4.7%
2 広島県神石高原町 4.8%
3 静岡県伊豆の国市 5.1%
4 静岡県御前崎市 6.0%
5 静岡県沼津市 6.9%
6 島根県吉賀町 10.3%
7 青森県南部町 10.6%
8 茨城県水戸市 14.2%
9 茨城県桜川市 16.1%
10 青森県平川市 16.7%
11 広島県江田島市 17.3%
12 茨城県神栖市 17.4%
13 愛知県豊田市 18.4%
14 埼玉県熊谷市 19.5%
15 静岡県伊豆市 21.2%
16 北海道士別市 21.7%
17 広島県世羅町 21.8%
18 岡山県井原市 22.0%
19 福島県南会津町 25.3%
20 千葉県山武市 26.0%
21 北海道大空町 26.3%
22 鹿児島県指宿市 26.6%
23 宮城県石巻市 26.7%
24 岡山県浅口市 27.1%
25 群馬県富岡市 27.1%
26 愛媛県上島町 27.9%
27 群馬県桐生市 28.1%
28 鹿児島県さつま町 28.9%
29 静岡県西伊豆町 28.9%
30 岩手県一関市 29.0%
31 岡山県瀬戸内市 30.1%
32 福岡県みやこ町 31.1%
33 岐阜県可児市 31.2%
34 福井県永平寺町 31.4%
35 鹿児島県鹿屋市 31.6%
36 長崎県南島原市 32.6%
37 群馬県渋川市 33.1%
38 岡山県美作市 34.2%
39 岐阜県本巣市 34.2%
40 岡山県真庭市 34.2%
41 静岡県掛川市 34.2%
42 愛媛県大洲市 34.4%
43 静岡県島田市 34.5%
44 山梨県中央市 35.5%
45 兵庫県たつの市 35.8%
46 宮城県登米市 35.9%
47 千葉県南房総市 36.0%
48 茨城県常陸太田市 38.4%
49 鹿児島県日置市 38.7%
50 沖縄県宮古島市 39.1%
(資料:新・公民連携最前線)
 

 有効回答276団体の2015年度までの起債額の平均値は127億1091万5000円。総額は3兆5082億1266万円だった。