「Beyond Health」2019年10月11日付の記事より

 2019年6月の「G20大阪サミット」に先駆け、同月に「G20福岡財務大臣・中央総裁会議」が開催された。世界の金融、経済の未来を担う様々な課題が話し合われるなか、「世界経済におけるリスクと課題の整理」のトピックのひとつとして注目されたのが、人口高齢化とそれに関する日本の事例や研究。今や人口高齢化は世界的な問題だが、なかでも日本はそのトップを走る“先進国”だ。

新規産業であるヘルスツーリズムに託された希望

 そんな高齢化社会の進行が現在のヘルスツーリズム事情に大きく関わっていると話すのは、地域づくりプロデューサーの木谷敏雄氏。前回ご紹介した青森県五所川原市の「DAZAI健康トレイル 青森ひばの神木コース」(関連記事)、千葉県南房総市の「癒しの森のセラピーウォーキング」といった認証プログラムをはじめ、多数のヘルスツーリズム開発に携わってきたが、肩書きからお察しのとおり、ヘルスケアや医療の専門家ではない。

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各地の地域振興をプロデュースしつつ、全国のヘルスツーリズム視察を重ねる木谷敏雄氏は、「お酒や食べることが大好きなので、体脂肪は多め。血糖値高めは改善!」とのこと。インバウンド関連の観光振興業務も多く、サイクルツーリズムやトレイルなどアドベンチャーツーリズムにも積極的に参加している(写真左:松隈 直樹、写真右:木谷氏が提供)

 では、なぜ……?

「医療費や介護給付費が年々増大するなか、病気にかかる前に自己管理を行い、健康寿命を延ばしていくことが、我々には求められています。それに関連して生まれた新規ビジネスの種が、ヘルスツーリズム。“健康長寿”の増加による“医療費削減”に加え、あらたな市場の創出、雇用の拡大により経済を活性化させ“地方創生”をはかるという、日本が抱える3つの大きな問題解消に向けて期待がかけられているんです」

 自然のなかを歩くトレイルや農業体験ができるグリーンツーリズムなど、物見遊山ではない体験型のニューツーリズムが着目されるようになったのは2000年ごろ。その一つであるヘルスツーリズムが大きな転換期を迎えたのは、2013年に閣議決定された「日本再興戦略」('14年、'15年、'16年に改訂)による。「健康寿命延伸産業」が戦略的分野のひとつに位置づけられたのにともない、経済産業省が後押しする流れでヘルスツーリズム認証制度が2018年にスタートした。

南房総市で行われている「原岡海岸タラソテラピーウォーク」では、富士山が望めインスタ映えで多くの観光客を集める岡本桟橋を活用。プログラムを終えた後は、美しい夕景がさらに心を癒やすことだろう(写真提供:木谷氏)
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 2019年10月現在、35件が認証されている。が、それ以外にもヘルスケア関連のプログラムやツアーは全国で増え続けており、今後、さらなる活発化が見込まれているという。