30位内には、スポーツ、ICT、教育関連の施設や事業が目立つ

 2019年スタートの事業のランキングについて目立ったのは、(1)スポーツ関連施設、(2)ICT関連事業、(3)教育関連事業、である。

 スポーツ関連施設としては1位の新青森県総合運動公園陸上競技場のほか、5位の鹿児島県「ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅」(9件)や14位の茨城県鹿嶋市「いきいきゆめプール」(5件)、26位の福島県楢葉町「ならはスカイアリーナ」(3件)が30位に入った。

 ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅は、陸上競技のトレーニングに特化したスポーツ合宿拠点施設、いきいきゆめプールは、学校用と市民用を兼ねた屋内温水プール、ならはスカイアリーナは、スポーツ振興と町民の健康づくりを推進するためにアリーナ、プール、フィットネスルームを兼ね備えた施設、である。

 いずれも目的が異なるため、スポーツ関連施設としてのトレンドは見えないものの、2015年にスポーツ庁が設置されてスポーツ振興やスポーツ産業の活性化に取り組んでいることが、背景の一つにあると考えられる。

 ICT関連では多くの事業が上位に入った。その内容は、行政のサービスや業務におけるICT活用と、産業促進関連とに分けられる。

 行政のサービスや業務におけるICT活用には、9位の東京都渋谷区「文書管理システム」(7件)、17位の熊本県荒尾市「RPA導入構築」(4件)および福島県会津若松市「ICTオフィス環境整備事業」(同)、26位の埼玉県戸田市「AI総合案内サービス」(3件)、奈良県生駒市「市内全小中学校へのUDフォント導入」(同)が挙げられる。

 渋谷区の文書管理システムは、公文書の発生から廃棄まで文書のライフサイクルを一元管理するシステム。文書の処理状況や所在をシステム上で把握できるため、事務の遅延防止や意思決定の迅速化を図り、ペーパーレス化も促進する。視察に訪れる主な目的は、文書管理システムの新規導入や既存システムの入れ替えのための参考にするためと見られる。

 荒尾市のRPA導入構築は、業務処理を自動化するRPA(ロボティク・プロセス・オートメーション)を、ふるさと納税業務、住民税特別徴収異動届出書入力業務など4業務に導入した。担当者による作業を削減し、市民と接する時間や政策的な業務の時間を確保して市民サービスの向上につなげる狙いである。対象業務は、2019年度にも追加する予定だ。なお本事業は総務省の「革新的ビッグデータ処理技術導入推進事業(RPA導入補助事業)」に採択された。RPA導入は、自治体における業務効率化に向け、全国的に導入が進みつつある。

 産業促進関連には、福岡県福岡市における「キャッシュレス推進に向けた取り組み」(6位、8件)と「Fukuoka Growth Next(リニューアルオープン)」(12位、6件)、北海道更別村の「スマート農業加速化実証プロジェクト」(26位、3件)が挙げられる。

 福岡市のキャッシュレス推進に向けた取り組みは、まず同市の窓口・公共施設などにおいてキャッシュレス決済を導入するところから始めている。同市では、「キャッシュレスFUKUOKA」を合言葉とし、市と民間企業が一体となってキャッシュレスの推進に取り組んでいる。市民のキャッシュレス機運の向上や企業の取り組みの加速を図る。他の自治体でもキャッシュレス推進の検討が始まっており、行政の役割や導入効果、中小店舗へ導入促進に向けた課題などを参考にするため視察に訪れるようだ。

 更別村のスマート農業加速化実証プロジェクトは、農業の省力化を検証するためのもの。農業におけるビッグデータの取得、フィールドサーバーおよびドローンの活用による可変施肥や遠隔土壌管理などを実証する。視察の主な目的は、最先端技術の活用事例を調査すること、インフラ整備状況を参考にすること、などだ。

 教育関連事業としては、2位の武蔵野市立小中学校体育館用冷暖房機導入事業、3位の川口市立芝西中学校陽春分校(夜間中学校)のほか、17位の岐阜県瑞浪市「瑞浪北中学校」(4件)や宮城県仙台市「学校給食費の公会計化」が挙げられる。

 瑞浪北中学校は、文部科学省のスーパーエコスクール実証事業の認証を得た学校。省エネルギー、創エネルギーの設備や工夫が多数施されている。内装には岐阜県産のスギやヒノキを多く使用しており、省エネや内装木質化に興味を持った団体が視察に来ていると考えられる。

 仙台市における学校給食費の公会計化は、文科省の方針に沿ったもの。2018年2月に文科省が出した「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定ならびに学校における業務改善および勤務時間管理などに係る取り組みの徹底について(通知)」の中で、学校給食費の管理は自治体が行うべき業務とされ、学校給食費の公会計化を今後推進すべきとの方向性が示されている。仙台市ではこの通知に先駆けて準備を進めたため、検討を始めた各自治体から公会計化に向けた各種業務の課題や対応について知りたいとの要望があった。