AIが商品の注文・配達受付などを代行

  実は、この道の駅に人を呼び込むための施策に、AI(人工知能)技術が活用されている。実証実験の段階だが、パネルディスカッションでは、その仕組みや現状が報告された。

  AIは、モニターとして選ばれた20名の住民に配布されたタブレット端末「御用聞きAI」に搭載されている。

  タブレット端末上の御用聞きAIの操作は、利用者による画面上に表示された選択肢のタップ、または対話で行う。利用者の音声を認識する技術や発話に合わせた人間らしい返答のアルゴリズムなどにAIが活用されているという。

  例えば、道の駅で販売される弁当や惣菜などを買いたい場合は、タブレットで注文を受付け、自宅まで配達してくれる。道の駅は、何をいつ、どこに届けるかという注文を早めに集約できるので食材の調達や調理などの業務が効率的になり、商品を届けやすくなる。

御用聞きAIの利用イメージ(資料:エルブズ)
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  この受発注の仕組みに加えて、バス情報の提供サービスも行っている。

  村民は、バスで出かける際にタブレット端末に「バスの時刻表が見たい」などと話しかけると、画面上にバスの時刻表が表示される。また、バスの現在位置を示すマークも地図表示される。南山城村では京都府とともに、廃路線にバスを走らせており、そこで提供されるバスロケーション情報を利用している。

  御用聞きAIのキャラクターは、大阪大学大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 教授の石黒浩氏が監修。利用者が対話をしやすくするためのキャラクターデザインのアドバイスなどが反映されている。AIによる会話は職員が設計したという。

AIを活用して地域と行政をつなぎ直す

  手仲氏が、AIベンチャーのエルブズ(東京都渋谷区)の代表取締役社長 田中秀樹氏と会って話を聞いたのは3年ほど前だという。

  エルブズの田中氏は、「”AI”という言葉がいまほど流行っていない時期だったが、手仲村長は道の駅と組み合わせた提案に耳を傾けてくれた。青写真から一緒に考えていった」と振り返る。実証実験にあたって、エルブズは南山城村と同村が100%出資する南山城との3者で協定を締結した。

  御用聞きAIの現状の効果/評価(高齢者)は、当日展示されていたパネルによると、次の通りだ。

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「道の駅×AI」の取り組みのこれまでとこれから(「京都スマートシティエキスポ2017」における南山城村のパネル展示より)

  買い物代行実績では3日間で12人、1日8件ほどの弁当の受発注を実現した。またバスロケーション実績では、10日間16人、総計約9100発話、バス乗降客延べ176人という利用状況だった。

  AIを搭載するキャラクターとの会話はタブレット通信を介して行うことで、村役場側では住民の安否確認にも役立っている。「行政職員の手が届かなかった手薄の時間帯をAIが補完している」(森本氏)。

  森本氏は、誰もが確実に年を取っていく中で、それをいかにフォローしあうかが大事だと語る。

  「かつて村を支えていたのは、結い(ゆい)・もやいと呼ばれていたコミュニティだ。私自身もこの村で生まれて、いずれここで死んでいくだろう。だからこそなおさら人任せではなく当事者として、もう一度、村を自分たちの手でつくっていきたい」