「普通だとつまらないという文化・風土がある」(鮫島氏)

鮫島泰洋氏(写真:小林直子)
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 デベロッパーとしてあるいはエリアマネジメントのメンバーとして渋谷の再開発に携わってきた鮫島氏は「渋谷には普通だとつまらないという文化・風土があり、多様性を育む土壌がある。昔から小口の地権者、事業者が多くいること、 一国一城の主が多いことがその理由ではないか」と渋谷という街の特性を説明した。

 林氏は、「そのような多様な状況にあれば、大規模開発を望まない層との意見の衝突を生む可能性があるのではないか」と指摘。鮫島氏は「確かにデベロッパーにとっては悩ましい状況であるが、だからこそ、大規模な商業施設においても、街を面白くしてくれるようなテナント先を選ぼうとするなどの長期的な視点が必要だと実感している」との心情を明かした。

 さらに鮫島氏は、「ストリートに人が集まる拠点が多く生まれれば人々が回遊する。人々でにぎわえば、そこから新たな商売が始まる。 そんなまちづくりを行えば、駅ビルなどの駅周辺だけに人々が集まる、全国各地にあるような画一的な様相の再開発にはならないという希望を持っている」と語り、開発者の視点として、街の各スポットを「点」で見るのではなく、各点がつながる「面」で見て、「大小様々な要素がある街」という視点の重要性を示した。

 林氏は会場に対し、「何の違いをもって多様性を示すと思うか」と「性別」「年収」「趣味」「ファッション」「活動の目的」「年齢」…といった具体的な項目に対し挙手で回答を求めた。その結果、比較的「活動の目的」への賛意が多かったものの、圧倒的な意見の一致は見られなかった。

多様性から生まれる相違と衝突をどう克服するのか

 次に林氏は、各登壇者へ自身の多様な人々との活動の中で生まれる意見の相違と衝突をどう克服しているのかについて質問した。

 デベロッパーであると同時にエリアマネジメント団体にも参画している鮫島氏は、渋谷のエリアマネジメントの現状について、「既に個々でまちの活動を行っている人々が、エリアマネジメント活動に参加しやすいような仕組みを作っている段階である」と語り、多様性によって生じるコンフリクト(相違と衝突)を克服していくのは次の段階だろうと説明した。

 その上で鮫島氏は「エリアマネジメント団体の活動意志決定で大切な前提は、各プレーヤー(団体の構成員や活動主体)の関係がフラットであること。上下関係ではなく、ゆるい横の連携関係でありたい。そうでないと機能しない。ゆるい横の連携とは、様々な活動に参加し合う関係を意味し、その関係の中からつながりが広がっていく。また、組織の肩書きが関係なくなるほど長い時間をかけたつきあいが必要でもある」と語った。