札幌市:北海道胆振東部地震で確認した施策の有効性と課題

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札幌市まちづくり政策局都心まちづくり推進室都心まちづくり課エネルギープロジェクト担当係長の櫨山和哉氏(写真:山本尚侍)

 2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、約2日間に渡るブラックアウト(全域停電)を経験した札幌市。

 「都心エネルギーマスタープラン」のもと、2050年を目標に「低炭素、強靭、快適・健康」を基本方針とした持続可能なスマートシティづくりを、都心部の建替更新に合わせて進める中で被災した。

 この時、「コージェネ(コージェネレーションシステム:熱電併給システム)を核としたスマートなエネルギーの面的利用の拡大」(低炭素)や「分散電源比率を増やして非常時の自立機能を高める」(強靭)といった基本方針に基づく取り組みが生きた。被災時に避難場所となった場所の1つに、2018年10月の開業に向けて準備中だった「さっぽろ創世スクエア」があった。ここには「観光客を中心に約530名が2日間にわたって宿泊した」(櫨山氏)という。

 ほかにも、備えていた非常用発電設備やコージェネレーションシステムを生かして避難する人を受け入れた都心部の自立分散型エネルギー供給ビルや地下歩行空間があった。

 「都心エネルギーマスタープランの妥当性、および近年整備を進めてきた自立分散型エネルギー供給拠点の有効性を確認できた。ただ、同時にまちづくりやエネルギー分野に関する多くの課題が浮き彫りになった」
 
「今回の地震と大規模停電を受けて、市民の意識も変わった。今回は比較的温暖な9月だったが、もし寒さが厳しい冬季に起きていたらどうなっていたか。電気だけでなく熱も必須になる。災害対策をしていない建物は鍵さえも開けられない。企業も事業継続に違いが出ることを、身をもって経験した」

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北海道胆振東部地震で観光客を受け入れた札幌市都心部のさっぽろ創生スクエアの様子(資料:札幌市)

 櫨山氏は、今回の経験をこう振り返る。

 そして、この冬の観光客への対応や、2030年冬季オリンピック招致を控える札幌市は「信頼回復に向けた取り組みが急務だ。(そのためにも)エネルギーの自立分散化やスマートエネルギーネットワークの推進を実行していく」(櫨山氏)と締めくくった。