会津若松市:まちづくりにデータ活用、会津大卒雇用の促進も目指す

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会津若松市企画政策部企画調整課副主幹の五十嵐徹氏(写真:山本尚侍)

 福島県会津若松市が目指す「スマートシティ会津若松」は、データとアナリティクスを掛け合わせたまちづくりだ。健康や福祉、教育、防災、エネルギー、交通、環境などの様々な分野でICTや環境技術を活用した取り組みを進めている。五十嵐氏がキーワードにあげたのは「産業振興を含めた地域活力の向上」「安心して快適に生活できるまちづくり」「まちの見える化」だ。

 会津若松市では、市民と行政の接点に、スマートフォン(スマホ)などで利用できる情報提供基盤「会津若松+(プラス)」を提供している。市民が日々開くアプリには母子健康手帳の電子版や除雪車の位置情報を表示する機能がある。

 除雪車については、市で保有する250台の位置情報をGPSにより把握している。除雪に時間のかかる地区を分析して割り出し、効果的な除雪作業に活用される。

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GPS端末を搭載した除雪車から得られた運行データの分析例(資料:会津若松市)

 LINEアプリを活用した市民への自動応答サービスには、AIを用いている。AI が回答することで市民は問い合わせで待たされなくなった。「その結果、職員が直接市民と向き合う時間が増えている」(五十嵐氏)という。また、応答履歴から問い合わせの傾向が明らかになり、行政サービス向上のヒントをつかんでいる。

 高齢世代などのスマホやPCを持たない世帯向けには、家庭にあるテレビを活用。インターネットを利用した中山間地域支援システムを介して現在、市や地域からのお知らせ、高齢者の見守り、オンデマンド型バスの予約が可能になっている。会津若松市の湊地区を実証エリアとして、設置を希望する世帯に導入している。

 また、会津市では、住民の居住場所をデジタルマップ上に記録している。これを活用したバス路線の効率的な運行ルートを再設計による収益改善や、防災、民生・児童委員担当地区の範囲確認などに活用している。

 農業とICTの連携も行っている。「水田の水管理に活用したところ、収益が1割増えた例もある」(五十嵐氏)。

 こうした取り組みにはもう一つの大きな狙いがある。地元・会津大学の卒業生の受け皿づくりだ。「会津大学の学生は卒業後、多くが首都圏に就職してしまう。若者の流出を防ぐためにも、ICT関連企業の集積による地域活性化と雇用創出を進め、会津大学の学生が地元に残るように取り組んでいく」と五十嵐氏は意気込む。