「車道を人に返す」大阪のエリマネ

 川田氏は、実際に大阪でどのようなエリアマネジメントが行われているのか、エリアごとに取り組みを紹介した。「大阪では6つほどのエリアに分かれて、マネジメントされている」という。

 商業施設「グランフロント大阪」周辺エリアでは、地権者からの分担金を、年間で総額およそ3000万円集めて施設の維持・管理、街の美化・清掃、放置自転車対策、防犯策などを行っている。一方で、エリアを巡回する「うめぐるバス」やオープンカフェ、にぎわい創出のためのイベントなどは自主財源でまかなっている。グランフロントとJR大阪駅の間には「うめきた広場」がある。都市計画で街ににぎわいを生むために設けられた屋外広場である。土地は市が所有し、定期借地権を設定した公共施設で、ここでのイベントなどによる事業収益は、エリアマネジメントの資金に充てることができる。

 大阪城の北東に位置する超高層ビル群で成る「大阪ビジネスパーク」(OBP)エリアでは、「道路空間をもう一度、人に返すための再編をしている。これは大阪のエリアマネジメント全般にも通じるテーマ」(川田氏)という。拡幅された歩道空間と公開空地を合わせたスペースを、歩行者天国など、にぎわい創出のために利用していく計画だ。今後、収益事業を含めて、この公共のスペースをエリアマネジメントに使えるよう検討している。

 御堂筋エリアも同様で、車道を一部廃止して歩行者空間を広げる方向で取り組みが始まっている。例えば、難波西口交差点~難波交差点の国道25号線の約200m区間をモデル整備。6車線道路の両側を走る側道を廃止して、歩道を拡幅するとともに自転車レーンを設置した。2016年にモデル整備が完了し、利用が始まった。今後、社会実験を積み重ねていく。

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歩道を拡幅した御堂筋のモデル整備(資料:大阪市)

 なんば駅前では、タクシーやバスの乗降場を人が滞留できる広場に変えていく考えで、2016年に社会実験を成功させている。「外国人観光客を迎えるゲートエリアでもあるので、将来は広場にして観光案内機能を持たせることなどを検討している。ただ、こうしたハードの作り替えは数億円の費用がかかる。官民の役割分担を議論していきたい」(川田氏)という。