東松島市:経験則×センサー情報で漁獲量推計

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KDDIビジネスIoT推進本部地方創生支援室の福嶋 正義氏(写真:山本尚侍)

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県東松島市。福嶋氏は2013年2月~2016年3月の間、KDDIから出向し、自治体職員の一人として現場で復興に取り組んだ。

 「水産加工業が盛んな東松島市では、震災が漁業に及ぼした影響も甚大だった。定置網漁を行うある漁師は漁獲量を確かめるために利用していた船で約15分のルートが被災で使えなくなり、被災後は遠回りするため片道1時間必要になった。移動だけでも負担が大きく、何か良策をとヒアリングする中で、センサーを活用して定置網にかかった漁獲量を遠隔地で把握する仕組みを考案。これが第一期IoTサービス創出支援事業(2016年度)に採択された」(福嶋氏)。より正確な漁獲量が迅速につかめれば、漁業者の取引先である飲食店なども入荷量の見込みが立ち、お互いに商売がやりやすくなる。

 実証事業を通じて、「水の色を見ればどのような魚がいそうか察しがつく」「シケの次の日は魚が多く取れる」といった事業者の経験に基づいた知見が得られたという。これらの経験則をもとにセンサー情報から漁獲量の推計を試みた。「その結果、現状ではサケ定置網漁における翌日の漁獲量を7割以上の精度で推定することに成功。漁業関係者にも驚かれている」(福嶋氏)という。

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さまざまなデータをもとに漁獲量の推定を試みた(資料:KDDI)

 福嶋氏らは、本サービスを創出する過程で見出した各種課題・研究テーマに基づき、2017年度以降、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)として、局所的海洋データを活用した漁業の効率化に関する研究開発を継続している。仙台高専や早稲田大学などの協力を得て、漁業で活用できるデータの種類を明確にするとともに、気象情報などのオープンデータや、LPWA(Low Power Wide Area)技術を用いた省電力のスマートブイから取得した多層の水温データを組み合わせ、機械学習などを利用して漁獲量の推定精度向上に取り組んでいる。

■訂正履歴
初出時、3ページで「325万円」とありましたが正しくは「3~5万円」でした。お詫び申し上げます。記事は修正済みです。 [2018/11/21 07:10]