政策の立案や評価にダッシュボードを用いる

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帝国データバンクの六信孝則氏

 帝国データバンクデータソリューション企画部総合研究所係長の六信孝則氏は、開発中の、複数の情報をひとまとめにして表示するツール「前橋市市街地活性化ダッシュボード」を交えて、自治体における今後の政策づくりのポイントを述べた。

 「自治体の政策づくりではこれまで、多くのコストや時間がかかる、複雑化する課題の関係性や全体像が見えにくいと、いった課題が指摘されていた。しかし、デジタル情報によって速く低コストで、全体を俯瞰できる“ジオラマ(情景模型)”がつくれる時代になった。これまでは人手や多くのお金をかけて行う調査のやり方で、1年後にやっとソリューションを考えることができるようなスピード感だった。しかし、ダッシュボードのような仕組みを使えば、費用は従来の10分の1程度に抑えられ、なおかつ、即時に全体像を把握することが可能になる」(六信氏)。

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「前橋市市街地活性化ダッシュボード」のプロトタイプ(資料:帝国データバンク)

 前橋市市街地活性化ダッシュボードで示した画面例は空き家・空き店舗に関するもの。赤い点は空き家、青い点は人が住んでいると推定される。業種も絞り込めるという。用いたのは人口データ、町丁目ポリゴンデータ、空き家推定データ、空き店舗データ、居住者推定年齢データといったオープンデータや自治体および民間保有のデータなど。「未知のデータはモデルなどから推定データを作成することで補うことが可能だ」と六信氏は説明する。

 六信氏は、超スマート自治体における政策は一度立案して終わり、ではなく評価が必要だと強調する。「政策の成果を、データを通じて評価し、さらに対話や議論を重ねて、よりよい政策を講じていく。一連のサイクルの中で、ダッシュボードのような仕組みが不可欠になる」(六信氏)というわけだ。

 「全体像を素早く可視化することで、多くの関係者を巻き込んだ対話や議論、合意形成が可能になる。先ほど神保氏は、『政策は仮説の集まりだ』と述べたが、データに基づく対話や議論の繰り返しを経て仮説や政策が紡ぎ出されてくる。ただし、ビッグデータは、正解データ=いわゆるスモールデータではない。スモールデータはもともとなんらかの知りたい目的やプランニングが前提にあり、その目的に沿って収集するデータだ。これに対して、ビッグデータはなんらかの問いに対する正解を得るためのデータではなく、全体を俯瞰しながら現状を把握し、仮説を立てるためのデータだ。スモールデータとビッグデータは収集の仕方や役割は異なる。ビッグデータを収集し世界を写像するパラレルワールド、つまりダッシュボードを活用することで、人が考察できる範囲が拡張できるようになる」(六信氏)。