子供や高齢者向けの予算は図書館でも生かせる

指宿市立図書館/NPO法人本と人とをつなぐ「そらまめの会」の下吹越かおる氏(写真:神近博三)

 最後に報告した指宿市立図書館(鹿児島県指宿市)の下吹越氏は、「皆さんが一番聞きたい」(下吹越氏)お金の話題を取り上げた。下吹越氏が最初にお金の問題を意識したのは、ある研修に参加したときのことだ。このときの研修の主催者は下吹越氏に向かって、「あなたは指定管理者だろう。予算を取ってくる権限がないんだから、研修に参加する必要はないよ」と発言したという。

 これにショックを受けた下吹越氏だったが、その後、「お金はどこにあるか」を意識して交付金や補助金の仕組みを勉強するようになり、「図書館でこういうことをしたい。お金はありませんか」とまわりに積極的に相談するようになった。そんなある時、国の子育て支援の交付金2000万円が余っているという話があり、その一部をベビーカーなど図書館の子供向け設備に使うことができた。

  このとき「図書館には障害者、子供、お年寄りなどいろんな人が来る。(図書館の運営費となる)指定管理料はあらかじめ決まっているが、図書館に来る障害者、子供、お年寄りのために使うのであれば、そのための予算を図書館に振り向けることができる」(下吹越氏)ことに気づいたという。

「やりがい」と「金額」の折り合いが課題

 現在では、NPO法人本と人とをつなぐ「そらまめの会」として、行政に頼らずクラウドファンディングで資金を集め、車両にカフェと書架を積み込んだ移動式ブックカフェを走らせるプロジェクトにも取り組んでいる(関連記事)。この移動式ブックカフェは、市役所の観光課や商店街の協力を得て、指宿駅前にある市役所の土地に場所代無料で出店している。「お金がない、指定管理料の範囲内のことしかできないとは考えず、行政や住民と連携して足りない部分をいかに補うかが大切だ」(下吹越氏)。

 フォーラムの最後に、司会の長田氏から「最近は(指定管理者を)辞めるNPOが出てきている。そのあたりのこと話してください」と話を振られた下吹越氏は、「NPOで4期、5期も指定管理者を務めるところは全国的にも少ないと言われている。お互い頑張ろうと励ましあってきたNPOでも、金額の折り合いがつかず撤退するところが出てきている。私たちも、やりがいはあるが、果たしてこの金額でみんなを働かせていいのか、どこまで(金額面で)持っていけるか、理解してもらえなければ身を引こう、と考えながら、次の指定期間に手を挙げているところだ」と発言。併せて、指定管理者制度の問題点として、図書館の職員が災害やトラブルに巻き込まれた場合の補償制度の不十分さも指摘した。