初のオンライン開催となった京都スマートシティエキスポ2020のプログラム「全国自治体交流シンポジウム」より、内閣府、総務省の2府省担当者が講演の概要をリポートする。国が進めるスーパーシティおよび府省が連携して取り組むスマートシティの概要、総務省が導入支援するデータ連携基盤(都市OS)やローカル5Gに関する発言などを取り上げた。なお、京都スマートシティエキスポ2020では、2020年12月31日まで講演の動画をオンライン会場(要登録)で公開している。

[内閣府]スーパーシティ推進に必要な法改正が可能に

 2020年の通常国会で、スーパーシティ制度の関連法案(国家戦略特区法の改正案)が成立、9月に施行された。

 スーパーシティとなる区域は、2021年春までに応募のあった自治体の中から選定し、政令で指定する。選定区域では区域会議を設置し、特区担当大臣や自治体の首長、先端的な住民サービスを提供する事業者などが参加し、基本構想を策定する。

 「スーパーシティ」構想について、と題して基調講演を行った内閣府地方創生推進事務局 審議官の佐藤朋哉氏は、「当該地域の住民の意向をていねいに確認・把握しながら、どのような社会を目指し、どのようなサービスを住民に提供するのか、そのために必要なデータにはどのようなものがあるか、現行法上の制約は何か、基本構想で整理し、規制の特例措置の実施を内閣総理大臣宛に依頼・要請する。これを受けた各規制所管大臣は特区諮問会議において、法改正や条例改正を通じて特例措置を講じる検討・決定を行う」と、スーパーシティ推進に欠かせない法整備のプロセスを説明した。

内閣府地方創生推進事務局の佐藤審議官の講演の様子。投影資料はスーパーシティ構想におけるデータ連携基盤の概略イメージ(講演のオンライン画面より)
内閣府地方創生推進事務局の佐藤審議官の講演の様子。投影資料はスーパーシティ構想におけるデータ連携基盤の概略イメージ(講演のオンライン画面より)
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 諸外国を見渡すと、新たに未来都市をつくりあげるグリーンフィールド型の取り組み、既存の都市をつくり変えるブラウンフィールド型の取り組みそれぞれに、AIやビッグデータを活用して社会のあり方を根本から変えるような都市設計の動きが見られると佐藤氏は述べる。

 「ただし、エネルギーや交通など個別分野、また実証実験段階にとどまるものが多い。その意味で、住民の目線で暮らし全般にわたる実装を行う『まるごと未来都市』は、いまだ実現していない、というのが世界の現状と認識している。我が国においても、未来都市に必要な要素技術はほぼそろっていると考えるが、それを実践する場がない」(佐藤氏)。

 この「まるごと未来都市」を実現しようというのが、スーパーシティ構想である。

 「スーパーシティの意義は2つあると考えている」と佐藤氏。1つは、先端技術と法制度の両面から包括的に地域社会における課題解決を目指すことだ。

 「その検討においてはまず、解決しようとする地域の課題は何かを明確化すること。必要な先端的技術は手段として、その次に考える。そうしないと個別最適に陥るおそれがある。技術の単なる実証ではなく、技術やサービスを利用する住民の方々の視点で未来社会を捉え、暮らしに役立つものでなければならない」(佐藤氏)

 第2の意義として佐藤氏は、日本が諸外国に先駆けて向き合う少子高齢化、人口減少などの状況、そこから生じる地域社会における課題解決のモデルを、スーパーシティ構想を進めるなかで提示できる可能性を指摘した。

 「ソリューションを提供する日本の企業にとっての新たなビジネス機会、我が国の輸出産業創出のチャンスになる可能性があるのではないか。先端技術を活用した先進サービスを提供できる多くの企業の積極的な参加が重要だ。併せて自治体からのアイデアの提案もぜひお願いしたい」と、佐藤氏は民間企業へのスーパーシティ構想への参画を呼びかけた。

 内閣府では、自治体と企業のマッチングを進める「スーパーシティ・オープンラボ」を運営している。現在、約190の民間企業が登録をしていると佐藤氏は説明した。

スーパーシティ構想で公募された自治体からのアイデア(内閣府の講演資料より)
スーパーシティ構想で公募された自治体からのアイデア(内閣府の講演資料より)
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