[長野県]2020年7月に「長野県DX戦略」を策定

 長野県では、2018年に5カ年にわたる総合計画(しあわせ信州創造プラン2.0)を策定。その政策推進の基本方針には、先端技術の活用を掲げ、DX推進を県庁全体で進めているところだ。全体を統括するCDO(最高デジタル責任者)は、2019年に設置されたポストで、2名いる副知事の1人である小岩正貴氏着任している。

 「CDOが議長を務める先端技術活用推進会議には、副知事および全部局長が参加し、部局横断的なプロジェクトを企画・実行している。ここでの議論を経て2020年に長野県DX戦略を策定した」(小岩副知事)

 「長野県の人口は2000年の215万人をピークに減少傾向にある。その結果、教育・人材育成、地域社会の機能、経済・産業・雇用、生活サービス・インフラ、医療・介護面で様々な影響が生じている。課題に向き合う中で、ICT利活用とDX推進に着目した施策を推進してきた。県民や地場企業に加えて、県外の方や企業にとっても魅力的な地域にしていく」(小岩副知事)

 2020年7月に策定した長野県DX戦略は、「スマートハイランド推進プロジェクト」と「信州ITバレー構想」の2つの柱からなる。

長野県の小岩正貴副知事/CDOの講演の様子。投影資料は、長野県が掲げるDX推進の2本柱(講演のオンライン画面より)
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 スマートハイランド推進プロジェクトは、県民生活と行政のDXを推進するもので、行政事務、教育、インフラ、災害対応、キャッシュレス、地域交通、医療の7分野で進められる。それぞれ2022年度の達成目標を掲げており、たとえば地域交通最適化プロジェクトでは、持続可能で新しい生活様式に適応した最適な交通の構築に向けた基礎を築くため、MaaSなど新たなモビリティサービスの導入を検討していく上で必要なデータなどの収集・分析と、新たな輸送サービスの実現に向けた実証実験の実施を挙げている。

 一方、信州ITバレー構想は県内産業のDX推進を目指すもので、2020年度はIT人材の育成支援、IT人材の誘致・定着の促進、IT企業の立地環境整備、ITビジネスの創出支援、県内産業のDX推進という5つを軸に取り組みを進めている。

 DXの着眼点には2つあると小岩副知事は言う。

 「第1は、中山間地域の課題に着目したことだ。スマートシティというと大都市の未来像のように描かれがち。しかし、長野県の課題は、都市部とは違う。信州のアイデンティティは、中山間地域にある。そこで、やるならば『中山間地域における先端技術活用』の先進県、スマートハイランドを目指そうという声があがった」(小岩副知事)

 第2の着眼点は、長野県内77市町村との協働だ。「県から理想を押し付けるのではなく、市町村と県がともに理念や目指す姿を共有することがDXでは大事だ。そこでの県の役割は、市町村が先端技術を活用しやすい環境を整えていくことだと考えている」と小岩副知事は語った。