[前橋市(群馬県)]市民の理解を得てスーパーシティにチャレンジしたい

 前橋市の山本龍市長は、「スーパーシティ&スローシティ ~デジタルな田舎暮らし~」と題して、前橋市の取り組みを紹介した。

 前橋市は、スーパーシティ構想(国家戦略特区指定)の申請を進めている。官民連携とデジタル最新技術により市民の暮らしを豊かにするスーパーシティの推進と、多様性や寛容性をベースにゆったりと健康的に暮らすスローシティをリンクさせる方針だ。

群馬県前橋市の山本龍市長の講演の様子。投影資料は、市民1人ひとりに適した行政サービスを提供する「まえばしID」の導入イメージ(講演のオンライン画像を一部加工)
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 高齢化率の増加や医療の増加をはじめ、多くの課題を抱える前橋市では、これまでに大きく(1)救急・医療・介護、(2)公共交通、(3)子育て環境、(4)市民サービス、(5)行財政改革の5分野においてICTを積極的に活用し、市民サービスの改善にチャレンジしてきたと山本市長は説明する。

 「55歳以降に大幅に増加する医療費をなぜ抑制できないのか。1人ひとりの健康データをもとに適切なアドバイスや健康指導をする仕組みが必要なはずだ。前橋市では、マイナンバーカードを活用してホームドクターと病院でCT画像を共有する実証実験や、救急車両で患者を搬送する際に医師に動画や検査結果を5G通信で共有し救命率を高める社会実験などを民間と連携して進めてきた」(山本市長)

 ほかにも、移動困難者対策として、運賃の一部を補助するマイタク(でまんど相乗りタクシー)の運行実施、ローカル5GやAIを活用した自動運転バスの導入、介護施設のベッドに各種センサーを設置した介護支援のしくみづくり、母子手帳の電子化、オンライン教育などの実績を挙げた。

 「東京から前橋市に戻って起業する若者、前橋市で学ぶ外国人留学生も増えている。それぞれの要望や言語、習慣を尊重した行政サービスを提供していかなければならない。このようなICTを活用した様々な分野のシステムに横串を通すのが、『まえばしID』だ」(山本市長)

 まえばしIDは、マイナンバーカードの個人認証とスマホSIM、顔認証を組み合わせたID(識別子)だ。

 「34万人の市民に付与することによって、1人ひとりの困りごとに積極的にお節介を焼いていく。市民1人ひとりに最適な行政サービスを送り届ける小回りの効く小さな市役所を目指す」と山本市長は強調した。そして「スーパーシティの指定を受けるには、構想に対する市民の合意を得る住民投票の実施が課されている。市民の理解を得てチャレンジしたい」と語った。