東西を結ぶ高架下だけでなく、南北軸もつなげる
中央ラインモール構想は、駅前や駅ナカの商業施設だけでなく、高架に沿って開発を広げていく。手始めに、武蔵境駅と東小金井駅の間で東西に延びる高架下に回廊歩行空間「ののみち」を整備した。高架に平行してそれぞれの自治体(武蔵野市と小金井市)が整備する道路に沿って、遊歩道を整備したのである。
そして高架の下にはJR中央ラインモールがコンテナ型店舗を配していった。駅に近いゾーンには弁当店やクリーニング店ど生活利便施設を置き、駅から離れたゾーンにはクリニックや保育所、高齢者向けのジムなどのサービス系の施設を配置している。こうして、駅だけでなく駅間の高架に沿って新たな人の流れを生みだそうというわけだ。
また、周辺地域との結びつきをつくりだすため、高架下をくぐり繋がる南北の軸を重視した仕掛けも用意している。駅間を東西に結ぶ「ののみち」との交差道路脇にはコミュニティガーデン・テラスと名付けた、地域の人たちが休んだり集ったりできる施設を配置し、周辺部を含めた回遊性に配慮した。大澤氏は「既存の駅前商店街や周辺の拠点を含めて、東西だけでなく南北と縦横に面的に回遊を図り、地域の連携を促し、地域らしさがつくりだせれば」と説明する。
こうして新しくできた高架下のカフェには「小さいお子さんを連れたお母さんたちや、年輩の方など、当初考えていた以上に多様な年代の地域の方に利用していただいている」と大澤氏は手応えを口にする。