地域活動から生まれる新しい公共のかたち

 そしていよいよ、オープンした活動の場であるコミステを通じて「動く」こと、つまり「STEP3:刈り取り期」の段階に入った。

 リライトは、コミステのおよそ半分の区画についてJR中央ラインモールと直接賃貸借契約を結び、クリエーターなどの5人の小規模事業者が入る「アトリエ・テンポ」や、全国のフリーペーパーを集めたライブラリーを併設した企画展示スペース「ヒガコプレイス」の運用などを行う。

右:リライトの籾山真人代表、左:リライトデベロップメントの古澤大輔氏。コミステに入居する「ヒガコプレイス」で撮影(写真:編集部)
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 コミステは商業施設でもあるが、地域に向けたコミュニティスペースとしての役割を果たすことも目指している。籾山氏は「アトリエ・テンポの運営だけでなく、店舗をセットバックしてつくった路地空間やコミステ内にあるカフェ東側の広場も使って、地域と連携したイベントを開催していく。開業からまだ3カ月余りだが、コミステへの人の流れも徐々にできてきた。これから暖かくなる春、夏に向けてイベントなど積極的に行い、地域の人たちに訪れてもらえるような存在になりたい」と語る。

 当面は籾山氏らの企画に沿って「朝市」や、これからのライフスタイルを考える「トークセッション」や、アートプロジェクトを行う。「こうした活動のなかで、われわれの考えるパブリックな空間、地域活動から生まれる新しい公共のかたちをつくりあげていければ」と語る。

 コミステなどを配した中央ラインモールの開発の場合、早い時期から駅間施設に関する情報発信を開始し、完成後は施設を拠点の一つとして人やコミュニティを育て、エリアの活性化を図っていく。駅周辺の情報発信を多様化させながら地域と連携してくというモデルだ。下図は、地域連携の様子を従来の駅ビル開発と比較した概念図だ。

駅ビル開発と高架下開発の地域へのアプローチの比較(資料:リライトの資料をもとに一部加工)
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 中央線沿線の高架下という特殊条件だから成立するのでは、という問いには、籾山氏はこう答える。

 「中央線は古くからの住民がいて、地域への愛着がある人が多い。こうした地域なら、今回のようなエリアマガジンやウェブなどのメディアと地域イベントを絡ませる手法は使えるのではないか。一方、新興住宅街や、例えば港区などのような都心部では、やり方を変えていく必要がある」

 「コミステのような、メディアだけ、建物だけでなく、両者をミックスしたパブリックな性質を持つ民間の施設の運営を今後も手掛けていきたい」と籾山氏は語る。さらに公共施設そのものの運営への進出も視野に入れている。「例えば公民館などのリノベーションと使い方の提案をして、我々が管理運営をしていくことも十分あり得るモデルだと思う。公共施設でも、地域の人々が自発的に取り組み、自分たちの地域を創り上げる活動につなげていければ理想的だ」(籾山氏)と意気込む。