これまでの100年で、東京は大震災、敗戦、高度経済成長、バブル経済の崩壊と、さまざまな経験を重ね、都市として発展・成熟してきた。ここからは、各種ハイテクの急激な発達・浸透によって生活シーンが変わっていく。一方で、超高齢化、労働人口の減少、それに伴う経済規模の縮小という課題と向き合うことになる。この未来年表は、これからの日本や世界で起こることを、各種資料から読み解いたものだ。変化が加速していく社会の中で、東京は、世界的にも例を見ない“新しい都市の姿”を探っていくことになる。
*この未来年表は、各企業・組織が発表した内容や、報告書の形で公表されている内容に基づいています。内容はそれぞれ、発表・公開当時のものです。
〜2020
社会・インフラ・環境・資源
◉東京都心と臨海副都心とを結ぶBRT(バス高速輸送システム)が運行開始
◉自動車各社などが、自動運転車を実用化
◉電気自動車の充電システムでの、無線給電システム採用が広がる
◉人工光合成技術が実用段階に
人 口
◉国内の総世帯数がピーク(5307万世帯)を迎える
◉日本女性の5割以上がシニア世代(50歳以上)に
◉1世帯の平均人数が2.5人を下回る。一人暮らし世帯が全世帯の3分の1に
生活・経済
◉ドローン宅配が実現
◉コンビニエンスストアの店頭商品の情報を、スマートフォンで15カ国語表示するサービスが始まる
◉ロボットが提供する道案内、買い物などのサービスを、スマートフォンで利用できるようになる
◉ロボットが協調して働く喫茶店が登場
◉製造業で、自動化技術を活用した無人工場が拡大する
◉日本人の出入国審査に顔認証が浸透
◉人の特徴を識別して不審者を追跡するカメラ/画像解析が登場
◉地方の免税店数が2万件超え
◉ASEAN加盟10カ国の域内関税がゼロに
◉世界の電子取引におけるアジア太平洋地域の割合が65%に
技 術
◉世界で500億台の機器がインターネットに接続
◉政府が国内すべての小中高校に無線LAN(Wi-Fi)を導入
◉ポリマー粒子をナノテクで最適化した低燃費タイヤの製品化が実現する
◉脳血流を信号化してテレビ、エアコンなどを操作するBMI(ブレインマシンインタフェース)技術が実用化
◉木材由来の繊維状物質「セルロースナノファイバー(CNF)」が、この頃、実用化する
◉脳波で意思を判断し、自動走行する「ロボット車いす」
◉糖尿病の薬として既に使われている「メトホルミン」のアンチエイジング(抗老化、老化治療)の効果検証が始まる
〜2025
社会・インフラ・環境・資源
◉アジアの人口が世界の6割、しかし手に入る水(淡水)は世界の36%
◉植物・微生物を利用して非石油系材料からの燃料、バイオプラスチック量産が実用化
◉世界のごみの量が年間22億トンに
◉ベッドから車いすやトイレへの移動を助ける介護ロボットが普及
人 口
◉日本の総人口の30%が65歳以上に
◉東京の1世帯の平均人数が2人を下回る
◉世界人口が80億人に
生活・経済
◉日本周辺海域でのメタンハイドレート採取が産業として自立する
◉自宅に居ながら遠隔で作業できるテレイグジスタンス(telexistence)技術が実用化
◉食材、日用品を自動宅配するサービスが実現
◉身体の感覚を高めるIT機器が登場し、従業員と顧客の10%がデジタル強化される
◉店舗での商品購入、公共交通の利用などの決済が生体認証などによりすべてオンライン化される
技 術
◉テーマパーク、ショッピングセンターでリアルタイムに顧客行動を予測する技術が確立
◉人の行動を先読みして情報提供したり、自然な対話をする人工知能(AI)機能がスマホに搭載される
◉街を走っている自動車の60%がインターネットに接続した「コネクテッドカー」に
◉コンタクトレンズにディスプレイとカメラを搭載したウエアラブルコンピューターが実用化
◉視覚、嗅覚、触覚、記憶力、筋力などを自然に拡張する装着型の小型デバイスが実用化
〜2035
社会・インフラ・環境・資源
◉国内建設大手が海底都市「オーシャンスパイラル」を実現
◉宇宙空間で得た太陽エネルギーをマイクロウエーブで地上に送電する「宇宙太陽発電所(SPS)」が登場
◉人工光合成の技術を燃料電池に応用した次世代エネルギーの商業化
◉環境、生態系、伝染病、経済、人の動きなどを統合した全地球的シミュレーション予測システムが実現(未知の危機への対応)
◉水が世界全体で40%不足。主要な農作物の収穫量も減少。穀物価格は2倍に
◉世界の消費全体で、地球2個分の資源が必要に
人 口
◉東京の45.5%が一人暮らし世帯に
◉日本社会の2人に1人が退職者に
◉国内で47万人が終末の居所を得られなくなる
生活・経済
◉高齢者、身障者を介助者なしで支援するロボットや住宅が実現
◉身体の異変を検知し、本人と周囲に知らせるシステムが実用化
◉作物や樹木の成長を制御する技術が確立
◉物質、エネルギー、水がコミュニティー単位で高効率に活用される循環型社会実現
◉地下空間と建物の余剰スペース、パイプスペースを利用した宅配便と郵便物の自動搬送システムが実用化
◉個人の体験を匂い、温度、心理を含めて生々しい肌感覚で記録し、共有するメディアが実用化
◉インターネット上の多言語の意見、主張を自動で解釈、収集、要約するシステムが実用化
◉人工知能が人間と同等の認知、判別能力を備える。日常生活の話し相手にも
技 術
◉数百ナノメートルの精度で微小物体の配置や運動を制御、計測する光技術が実用化
◉20以上のメニューをマスターし、8割以上の作業を代わりにこなす厨房ロボットが登場
◉ひらめき、思案する国産人工知能(AI)が実現
◉感覚機能を持った義手や義足が実現
◉移植用iPS細胞の備蓄「iPS細胞ストック」を利用した再生医療体制が実現
◉大規模システムの障害を自律的に防止する技術が実用化
2035〜
社会・インフラ・環境・資源
◉30人の乗客を片道7.5日で高度3万6000kmまで引き上げるカーボンナノチューブ製の国産「宇宙エレベーター」が実現
◉国内のタイヤ大手が、原材料に含まれる石油をゼロ
◉仏エアバスが「バイオニック・デザイン」を機体の骨格に用いた近未来機を実現
◉リニア中央新幹線が完成
◉燃料電池で走る電気自動車の普及率が、国内で40%に
◉耐用年数を超えた老朽水道管が、全体の50%を超える
◉東京都の下水道が普及率100%へ
人 口
◉世界人口が90億人に
◉日本の総人口が1億人を割り込む
◉日本の生産年齢人口が全人口の53%に
◉化学エネルギーを力学エネルギーに変換する「分子モーター」を利用した高効率のエネルギー変換技術が実用化
◉二酸化炭素(CO2)から燃料を作る人工光合成技術が実現
生活・経済
◉食器洗いや子守りがロボットの仕事になる
◉海の魚が激減し、商業漁業が継続不能に
◉国内の空き家率が36〜43%に達する
◉日本の食品の70%以上が調理済み食品か加工食品になる
◉コンピューターによる翻訳が普及し、外国語の学習が必要なくなる
◉義足ランナーが男子100メートル走の記録で健常者を超える
◉人類が機械と結合した存在になり、健康な脳、身体器官の取引が活発になる
技 術
◉抗老化薬、老化治療薬としての「メトホルミン」が実用段階に。人生120年時代へ
◉個人の記憶をコンピュータに移して、検索したり処理したりできる技術が確立
◉ドライバー不在の自律運転が可能に
◉電化製品が、ありふれた有機化合物から作られるように