• 日経BP総研 所長 望月 洋介

    日経BP総研
    所長

    望月 洋介

  • 日経BP総研 副所長 同 社会インフラ研究所長 安達 功

    日経BP総研 副所長
    同 社会インフラ研究所長

    安達 功

  • 日経BP総研 クリーンテック研究所長 河井 保博

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    クリーンテック研究所長

    河井 保博

  • 日経BP総研 ビジョナリー経営研究所長 徳永 太郎

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    ビジョナリー経営研究所長

    徳永 太郎

日経BP総研 所長 望月 洋

日経BP総研 副所長 同 社会インフラ研究所長 安達 功

日経BP総研 クリーンテック研究所長 河井 保博

日経BP総研 ビジョナリー経営研究所長 徳永 太郎

2020年東京オリンピック・パラリンピックは、世界に東京の存在を示す絶好のチャンスだ。では、何を示すのか。それを考える人材こそが最重要になってくる。社会とテクノロジー両方の動きを理解し、周囲を引っ張っていくリーダーが東京には必要だ。日経BP総研の所長らが、東京の未来について語り合った。

日経BP総研 所長 望月 洋介

望月 洋介(もちづき・ようすけ)

日経BP総研所長
NEDO研究評価委員会委員、公民連携による海外インフラビジネス推進に向けたプラットフォーム関係者会議委員など政府委員の実績多数。著書に『スマートシティ・ビジネス入門4000兆円市場への挑戦』

望月 世界から人が集まり、情報が集まり、経済活動も盛んで、活気がある巨大都市。東京が目指すべき未来の姿として、一つにはそんな都市が考えられます。でも、もしかしたら高齢化と人口減少で都市が衰退し、巨大スラムになってしまうかもしれない。

 そこで、「東京に人が集まる」ことの意味について、まず考えてみたいと思います。

河井 都市の価値はどこにあるのかというと、やっぱり「人が集まる場である」ということですよね。人が集まってくれば、自然とビジネスも生まれるし、マネタイズができる場も出来上がってくる。

 雇用があれば、もちろんそこで働く人や住む人が集まるわけですが、旅行など何らかの理由で訪ねてくる人もいる。人が集まる場というのは、必ずしも雇用だけの話ではなくて、いろいろな人たちが集まる場になればいいということだと思います。そのために大事なのはエンタテインメント性であるとか、そこに行くことの意味。これを都市にきちんと盛り込んでいかないと、人は集まらないんじゃないかという気がしています。

望月 このときに「集まってくる人」というのは、どんな人たちをイメージしていますか。年齢層、男女比、国内・海外など、いろいろなセグメントがあるわけですが。

河井 ビジネスをつくるという意味では、とにかく集まってくればいい。ただ、個人的には「若者が活躍している活気がある街」という見え方をした方が、人が集まりやすいんじゃないかとは思います。そうなると国内の若者だけでは人数が少ないので、外国人にも来てもらうということになる。

世界のメガシティ—人口1000万人以上の都市集積は31カ所

世界のメガシティ—人口1000万人以上の都市集積は31カ所

メガシティとは人口1000万人以上の都市集積のこと。2016年には31カ所のメガシティが存在。国連では、30年には41カ所に増えると予測する
(資料:国際連合「The World's Cities in 2016」)

徳永 集まった人をどこに収容するのかということも考える必要があります。今、東京はオフィスビルを建て過ぎじゃないかと私は思っているんです。

 オフィス需給を日本だけで閉じて見ていくのか、それともアジアの中心都市を目指すつもりで進んでいくのか。その辺りの判断が、今、すっぽり抜け落ちているように感じます。これをちゃんとやらないと、オフィススペースが大量供給される数年後には、空室だらけのオフィスビルが東京中に出現することになるかもしれません。

 ただし、国内事情としては、2027年のリニア新幹線開通の影響も考える必要があります。40分で名古屋まで行けるようになるわけですが、そうなったときに、国の描く「スーパー・メガリージョン構想」(*1)のように都市圏が拡大するのか。必ずしもそうではなく、どんどん日本中から需要を吸収して、東京だけが肥大化していく未来も考えられます。

安達 世界の都市との競争を考えるときに、前提としてあるのが、メガシティ(人口1000万人以上の都市集積)がどんどん増えているということです。

 国際連合によると、1975年に存在したメガシティは、ニューヨーク、東京、メキシコシティの3カ所だけでした。その後、世界中で人口増と都市化が進み、2016年には、東京を含めて世界には31のメガシティが存在しています。

 都市間競争は、これからさらに激化していきます。国連では、2030年にはメガシティがさらに増え、41カ所になっていると予測しています。

望月 日本の中では今、地方がいかに自分のところに雇用をつくり、人口を集めて税金を徴収して—、といった話をしていますが、世界レベルでの人口争奪戦が発生しているわけです。

 シンガポールと東京とは明らかに競争相手になっているし、上海と北京はお互いにライバル同士になっている。「人口争奪戦」というのは、これからの都市を考える場合のキーワードになってきそうです。

*1 [スーパー・メガリージョン構想]

リニア中央新幹線の開業によって、東京・名古屋・大阪の三大都市圏が約1時間で結ばれ、世界を先導する「スーパー・メガリージョン」の形成が期待されている。国土交通省は、その効果を最大限引き出すための「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置している。