國定勇人氏 2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合 会長 新潟県 三条市長

國定 勇人(くにさだ・いさと)

2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合 会長
新潟県 三条市長

1972年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業、郵政省(現総務省)入省。三条市市長公室長兼総務部参事、総合政策部長などを経て、2006年11月に三条市長に就任。現在3期目。15年に「2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合」会長に就任

2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合
東京オリンピック・パラリンピックの開催を各地方の魅力を世界中に知ってもらう機会として捉え、意欲ある地域が手を携えて日本の総合力を発信することを目指して発足。2017年11月13日時点で560自治体(407市・132町・21村)が参加

 「世界各国の皆さんは、日本と東京、地方と東京をどれだけ区別しているのか。ほぼ同一視しているのが実際ではないでしょうか。にもかかわらず、僕たちが『オリンピックは東京のものだから関係ないよ』みたいな意識でいるのはものすごく非生産的だし、それこそ機会損失が甚だしいと思うんです」

 こう語るのは、新潟県三条市長の國定勇人氏だ。「2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合(以下、首長連合)」の発起人の一人であり、会長も務める。

 現在、560市町村(2017年11月13日時点)が加盟している首長連合の活動の主軸となっているのは、「旅する新虎マーケット」だ。東京オリンピック・パラリンピック(以下、オリパラ)の開催時には、選手村とスタジアムを結ぶシンボルストリートとなる新虎通り(国道2号線・新橋—虎ノ門間)の沿道で、「旅するスタンド」(飲食店・エリア内4カ所)、「旅するストア」(物販店舗)、「旅するカフェ」などを展開。オリパラ開催までの間、3カ月ごとに参加自治体が入れ替わりながら、伝統工芸品、特産品や郷土料理を販売して、地方の魅力をアピールしていく。

企業と地方を結ぶプラットフォーム

 首長連合が目指すのは、東京と地方、さらにいえば、東京の企業と地方をつなぐプラットフォームだ。「旅する新虎マーケット」以外にも、日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所・東京商工会議所らが集まった「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」と連携した物産展の開催など、首長連合のプラットフォーム機能を生かしたプロジェクトも動きだしている。  「小さな自治体がいくら頑張っても、東京の大企業と結びつくのは、現実としてはなかなか難しい。でも、560におよぶ市町村が集まれば、企業から注目してもらいやすくなるし、企業にとって魅力的なコンテンツを提示しやすくなるはずです」

 実際、今のところ東京の大企業と地方との結びつきは薄い。

 「東京の企業の皆さんは、本当に頭がいいし、情報量は豊富だし、何かを実現しようとするときのノウハウや人脈もたくさん持っています。でも、地方のことについては、本当に信じられないぐらい何も知らない。結局、大企業を中心とする皆さんが持っている地方の情報は、東京近辺だけ、京都・大阪近辺だけというところにとどまっているんです。

 僕たち地方には、コンテンツはあるけれど、それをどう生かしたらいいかが分からない。一方で、大企業の皆さんは、装塡するべき具体のコンテンツを欲している。首長連合は、この両者を結びつける魅力的なプラットフォームにしていきたいと思っています」

野焼 計史 氏 東京地下鉄株式会社 常務取締役 鉄道本部長

旅する新虎マーケット
上左は物販店舗「旅する新虎ストア」店内。上右は飲食店「旅するスタンド」。奥に見えるビルは虎ノ門ヒルズ。「ストア」や「スタンド」では、参加自治体の工芸品や郷土料理を供する

(写真上右:日経BP総研、下中央・右は赤坂麻美)

内向き志向からの脱却を

 首長連合の機能を最大限生かすためには、まだまだ課題もある。國定氏が指摘するのは「内向き志向」だ。

 「プラットフォームを通じて、企業側から連携の情報が次々に入ってくるようになりました。でも、反応する自治体はまだまだ少ない。地方創生、東京一極集中反対とはいっても、受け身体質から脱却できていないのではないでしょうか。オリパラ開催までの3年間なんて、あっという間に過ぎてしまうのに……」

 内向き志向は、東京でも感じられると國定氏は言う。

 「会合があって、檀上に立った人が『皆さん、おはようございます』とあいさつしたとします。僕たちの感覚だと、会場にいる人は『おはようございます』と返すわけです。でも東京だと、あいさつが返ってこない(笑)。こういった内向き志向、遠慮志向みたいなものが、東京が地域のコンテンツを探し切れていないということにもつながっているのではないでしょうか」

 こうした日本社会全体の内向き志向は、克服していかないと2020年以降を見据えたインバウンド拡大やオープンイノベーション推進などに、支障を来しかねない。首長連合のような場を活用しながら、もっと連携・交流の経験を積むことが、東京にも地方にもこれから求められてくるだろう。