元号が「令和」へと変わった2019年。現在、我々はヘルスケアに関わる地殻変動を目の当たりにしている。

イノベーションは指数関数的に「加速化」

 ヨーゼフ・シュンペーターによろしく。イノベーションは有史以来(あるいはそれ以前から)、人々の生活や経済活動の発展に貢献してきた。これまでも、イノベーションそのものの重要性が疑われることはなかった。一方、我々が現在特異的に観測しているのは、科学や技術の「指数関数的」進化だろう。

 米国において、全自動洗濯機が市場に投入されてからクリティカルマス(商品・サービスが爆発的に普及する分岐点)まで到達するのには70年以上の歳月を要した。インターネットの場合には20年、スマートフォンの場合は6年だ。ソフトウエアやアプリケーションの進化はより急激となっており、日々新たな医療AIのアルゴリズムが開発されて、バージョンアップしている(図1)。

図1●「加速化」する世界
先端技術の進化と普及が「加速度的に」進んでいる。図は、製品ライフサイクル(世帯普及率)の変化。(出所:『OurWorldInData』等を基に筆者作成)

 今や、企業において1年前に立案した技術戦略が陳腐化していることも珍しくはない。イノベーションは、経営者やCXO(Chief x Officer)の頭痛のタネである。カンブリア紀的に登場する多様な先端技術の評価と利活用の方法について、五里霧中に陥るケースも多い。イノベーションは技術のみならず、事業モデルや産業構造を内包するものだ。かつて75年と言われた企業の寿命は15年と言われるようになり、企業のマネジメントに対して迅速な意思決定を求めるようになっている。