医療におけるモビリティー戦略

 こうしてみると、モビリティーは医療産業における一つの新規モダリティーになりうるかもしれない(Mobility as a Modality)。萌芽的に顕在化している幾つかの事例と併せてみると、患者のペインポイントやアンメットニーズに対峙するための幾つかのアプローチに分類できそうだ(図表3)。

図表3●Healthcareに対するMobilityのアプローチ
ヘルスケアへのモビリティの適用として、3つほどのアプローチが顕在化しつつある(出所:各社ウェブサイト、Beyond Healthを基に筆者作成)

A)医療従事者が患家まで向かう(フィリップス・ジャパン社)
B)患者が医療施設まで向かう(Uber Health社)
C)移動手段自体を医療(診断・治療)手段とする(NeuroLogica社)

 それぞれのアプローチが解消する患者にとっての便益は異なる。例えば、(A)では、四肢の障がいなど、移動に物理的困難を有している方への医療提供に向いている。また、(B)では、日常生活の動線におけるさまざまな要因により通院継続に課題を生じている患者さんへのアプローチとして奏功するかもしれない。

 (C)のアプローチは、臨床アウトカムの向上に直接結びついている。Mobile Stroke Unitによって、脳卒中患者のTherapeutic time windowsを延長、結果としてt-PA製剤の早期導入の可能性を上昇することができるなど。

 まとめると、疾患に関連する細やかな日常のペインポイントやメディカルアンメットニーズを拾い上げることを経て、最適なアプローチを採択することになるのだろう。