人工筋肉などのアクチュエーター、無線通信、生体電位の測定技術向上がカギ

 これらの大会からは、スポーツ、さらには日常生活の在り方が科学技術の進化と密接にひもづいている点を看取できる。上述のPowered Exoskeletonを例にとると、グローバルにおいて2017年時点で1億2500万6000米ドルの市場規模、2025年には18億9600万8000米ドル程度に成長すると推計されている(図表2)。

図表2●人体拡張に関する市場性
図表2●人体拡張に関する市場性
産業界のニーズと技術革新が合致することで、エクソスケルトン(パワードスーツ)の大幅な市場拡大が見込まれている(出所:Allied Market Researchを基に筆者作成)
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 市場拡大を牽引すると考えられているのは、医療機器領域におけるニューカマーや異業種のプレーヤーの参入だ。人工筋肉などのアクチュエーター、無線通信、生体電位の測定技術向上がカギとなっている。

 バイオエレクトロニクス、バイオマテリアル、インプラント・ウエアラブルデバイスの発達と人体との融合は、「ボディハッキング」の現出をもたらす。SFのような響きだが、北欧ではカラダとデバイスの融合を通じた人体拡張が現在進行形で進む。

 スウェーデン出自のBiohax International社はNFC(近距離無線通信)対応に対応する米粒大のバイオチップを展開する。バイオチップの挿入は既にペットなどに対して行われており、ヒトに対しても親指と人差し指の間に数秒で挿入することが可能な確立した技術である。

 同社のバイオチップを用いることで、鉄道の乗車券や入退室管理、ラップトップの認証などをセキュアかつ高速に行うことができる。2018年、同社は金融関連の企業など、英国における複数の潜在クライアントの従業員向けにバイオチップを導入する計画があることを発表した(図表3)。

図表3●バイオチップの普及
図表3●バイオチップの普及
RFIDを用いたマイクロバイオチップを体内に埋め込み、日常生活の利便性を向上させる営みが欧州にて先行している(出所:Biohax International、各種二次情報文献を基に筆者作成)
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