社会としての受容の態度についての論議を

 3Dプリンティング技術の発展と浸透によってもたらされた電子タトゥー(e-tattoo)も、人体拡張の賜物として位置づけられるだろう。東京大学の染谷隆夫教授は、スキンエレクトロニクスの技術を研究開発している。人の皮膚に貼ることができるほどの薄くやわらかいプラスチックフィルム内に半導体を搭載することのできるPrinted Circuit Fabric(PCF)を開発した。バイタルデータをリアルタイムでセンシングすることが可能となっており、心疾患や神経変性疾患の早期検出などへの医療への応用が想定されている。

 また、染谷教授の研究室からスピンオフした東大発のベンチャー、Xenoma(ゼノマ)社はAOKIと「スマートスーツ」を共同開発しており、会社員の疲労度などのビックデータの利活用を狙うなど、多様なアプリケーションの創出を企図する。

 こうした最先端の技術群は疾病や障害に対峙する医療、介護、健康増進の領域において普及が進むものと考えられる。そしてその先には、寿命100年の時代において、五感や運動機能の限界を突破することを人々は求め始めるだろう。

 既にヒトとキカイ(モノ)の境目はなくなりつつある。先のBiohax International社のアナウンス後、従業員の活動のマイクロマネジメント、プライバシーの保護、データセキュリティー面での懸念が提示されている。ヒトが自身の能力の限界を超越するとき、社会としての受容の態度について論議を尽くす必要性がありそうだ。

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