紙の処方箋は存在しない

 ヘルスケアサービスでは、カルテの情報がCPRナンバーにひもづいて管理されており、医師や薬剤師が病院・診療所・薬局などから電子上ですぐに患者の診療や服薬の履歴にアクセスできるようになっている。日本のように通院時に紙の処方箋を医院で手渡されることはなく、薬局でCPRナンバーを伝えると薬剤師がすぐにこのオンライン上の情報を参照し、処方されている薬を用意してくれる。

 医療従事者だけでなく患者や一般市民も自身の医療情報にアクセスすることができる。それを可能にしているのが2003年にその基礎が築かれた医療ポータル「sundhed.dk」の普及である。

 デンマークでCPRナンバーを持つ者であれば誰でも、sundhed.dkにアクセスすれば通院歴やカルテ、処方された薬などの情報を自分で確認できる。この医療ポータルは、前述の行政サービスの申請に利用する市民ポータルと同じサイトからアクセスできるようになっており、利用者である市民にとって非常に便利な仕組みである。

 このように、デンマークでは、ヘルスケア領域を含めさまざまな分野でデジタル化が進んでおり、ユーザーにとってサービスの利便性は非常に高い。次回以降では、デンマークにおけるデジタルヘルスの取り組みをより詳しく解説していく。

(タイトル部のImage:著者が撮影)