前回はデンマーク社会のデジタル化を概観した(関連記事)。今回はヘルスケア領域でデジタル化が発展してきた経緯をみていきたい。

かかりつけ医制度を採用するデンマーク

 デンマークにおけるデジタルヘルスの「今」を語る前に言及しておくべきなのは、そもそもの医療の仕組みの違いである。日本とは大きく異なり、デンマークではかかりつけ医制度を採用している。

 図1に示す通り、救急の受診が必要な場合を除いては患者個人が登録している「かかりつけ医」(総合診療医、いわゆるGP)をまず受診する仕組みになっているのだ。総合診療医がゲートキーパーの役割を果たしており、そこで彼らが必要と判断した場合にのみ、専門医や検査機関へ紹介されることになる。

図1●患者からみたデンマークの医療サービスの構造(図:Danish Ministry of Health and Prevention (2008) を基に著者が作成)