デンマークでは医療、介護ともに在宅ケアが推進されている(関連記事)。その体制の中で、遠隔医療やリハビリの技術の利活用が進んでいる。今回と次の第4回では、デンマークで“Home monitoring(ホームモニタリング)”と総称される、在宅での遠隔医療・リハビリのソリューションを活用したプロジェクトの具体例をみていこう。

 今回はプロジェクトの概要や実際のサービスとして運用されているのはどのようなものか、どのような成果を出しているのかを中心にお伝えする(図1)。次の第4回では、実証実験や研究により蓄積されてきた知見やデンマーク国内の議論を参照しながら、取り組みから見える課題やそれに対する工夫などを考察する。

図1●実証実験のイメージ図(出所:オールボー大学教授Jeppe Agger Nielsen氏の提供資料より)

慢性疾患増加への懸念と繰り返される入退院

 デンマークに限ったことではなく、国際的に指摘されていることの一つとして、今後慢性疾患が増加していくという点がある。2025年には、治療の必要な疾患の7割が慢性疾患となり、それに起因する生産性の損失は2030年に47兆米ドルに上るという予測があるほどだ1) 。この慢性疾患とどのように付き合い、悪化を防ぎながら日常を過ごすかということに対して、本稿で取り上げる遠隔リハビリは有効な方法を提供している。

 上述の予測に加えて、デンマークの医療サービスにおいて問題視されてきたことの一つが、患者の再入院が繰り返される現状である。従来提供されてきた一律の仕組みやサービスでは個人個人で異なる状態に対応しきれず、一度回復もしくは改善しても結局は以前のライフスタイルに逆戻りし、病状が悪化して再入院に至ってしまうことが多くみられるという。