ポーチまでは自分の足で行きたい

 Aさんからの相談は、屋外への移動方法についてでした。車いすでの移動が中心ですから、車いすに合わせた住宅改修になるのだろうと予想していましたが、実際は違いました。

 外出時の自立歩行は難しく、歩行には介助が必要でしたので、安全面などを考えると車いすでの外出が想定されました。しかし、Aさんは「できる限り自分の足で歩きたい」と強く希望されました。たとえ介助が必要でも、自分で歩くという意欲がとても強かったのです。「自分の足で歩く」は、リハビリテーションの視点で見ると、とても重要なことです。歩行を続けることで、歩く能力の維持が見込まれるからです。

 まずは玄関からの外出を検討することにしました。

 玄関は広く、車いすで移動するには都合がよい空間となっていました。しかし、つかまる所が極端にないため、歩行で移動では上がり框の昇降に介助が必要でした。介助負担が大きく、床が大理石のため滑りやすいというリスクもありました。

 また、昇降できたとしても、玄関から車寄せ(ポーチ)まで15mほどの距離がありました。その半分は、傾斜のついた坂道(スロープ)でした。勾配がきつく、こちらも介助負担が大きいと判断しました。

写真1 勝手口にある階段

 そこで、勝手口からの出入りを検討することになりました。勝手口からも庭を経てポーチへ行くことができます。(1)リハビリテーションも行えそうなほどに庭が広い、(2)室内から勝手口の土間との段差が少ない、(3)椅子を置くスペースがあり靴の着脱までの動作は軽介助でも行える――などの理由から、歩行ができれば、勝手口からは玄関より少ない介助で外出することが可能でした。

 ただ、庭に下りるまでに階段(写真1)があり、かつ飛び石(写真2)を渡らなければならず、その間をどう移動するかが課題でした。これを解決したのが福祉用具でした。