結果が分かれる減量プログラム

 表1に示した2つの減量プログラムにはポジティブなものとネガティブなものがあったが、2016年に行われたSemperのシステマティックレビュー、そして、最近発表された2つの減量プログラムにも、ポジティブ・ネガティブ双方があるので、結果を分ける原因・背景について探っていきたい。

ネガティブな結果となった原因・背景

 まずネガティブな研究から見ていく。

 Laingらの研究3)で使われたスマホアプリは、現在体重と目標体重から日々の目標カロリーを算出し、それと毎日の摂取カロリーの状況が比較して示されるものであった(食事の写真を撮るなどして摂取カロリーが算出される)。さらに、ソーシャルネットワークの仕組みもあり、同様に減量プログラムに取り組み人たちとの関係により、モチベーションが上がる仕組みも導入されている。

 結果は、3カ月では、対照群は0.54ポンド上昇、介入群(アプリ)は0.06ポンド減少であり、有意差は見られなかった(6カ月もほぼ同様な結果)。効果が見られなかった原因は明確で、介入群がアプリを利用した回数は非常に低く、6カ月間で、アプリへのログイン平均回数は61回、中央値では19回であった。3か月目では、介入群の体重減少に対する自己効力感が、対照群よりも低いという結果もみられた。

 アプリ利用の困難さ(食事を写真で送るなど)が、利用の低さを招き、結果として自己効力感を低めるという結果になったと解されている。冒頭に述べた、患者のエンパワーメントどころか、ディスエンパワーメントになってしまった。

 今後の改善策として、アプリ利用の簡便さ、減量プログラムに対して準備状況ができている患者を対象とすること、カウンセリングとの連動などが挙げられている。

 Semperの行ったシステマティックレビューのうち3研究4)でも、対照群に比して介入群の優位な有効性は示されなかったが、いずれの研究でも、介入群と対照群、両群で体重減少が見られていた。対照群として行われたプログラムが、カウンセリングや食事日記(紙面)をつけるなど、比較的強力な働きかけがなされており、その結果、アプリによる介入群との差異が明確にならなかったとみられる。