<精神関連疾患に対するデジタルヘルス技術>

物質使用障害(薬物、麻薬)に対するデジタル療法4)

 物質使用障害の再発防止のためには長期のフォローが必要である一方で、状況が急変したときへの迅速な対応が求められるため、デジタルを用いた方法は広がりつつある。介入方法として、比較的単純なものと複雑なものがあった。単純な加入とは、モバイル/ウェブによるメッセージやオンラインのカウンセリングなどで、複雑なものは、モバイル/ウェブが複数のモジュールに分かれていて情報提供やモニタリングがなされたり、相互やりとりが可能なモバイル/ウェブのシステム、さらにそれらがオンラインのカウンセリングと組み合わされたものなどであった。

 23の比較研究のうち、半数以上の研究でポジティブな結果が得られた。比較的単純な介入と複雑な介入で結果を比較すると、単純な介入を用いた研究の47%で、複雑の介入の研究の67%でポジティブな結果が得られていた(しかし、単純な介入の研究の方が、コントロール群に対して行われている対応が比較的強力であったため、統計学的にはポジティブな結果が出にくいことから、結果の解釈は要注意とのこと)。

出産前後のうつ病に対する遠隔医療5)

 妊娠中から出産後1年までの期間のうつ病に対する遠隔医療の有効性評価がなされた。手法としては、認知行動療法や行動活性化療法等をベースとして、コーチング、フォローアップのための電話、モニタリング、元気づけ、教育資料の送付のためのEメールなどであった。有効性の指標によるが、全体としては、約80%の研究で介入群に効果が見られていた。Eメール送付や情報提供には、ウェブベースのものと、スマートフォンのアプリを使ったものがあったが、効果が見られなかったものは、それぞれ一つずつであり、介入方法の違いは明確でなかった。

認知症患者に対するペットロボット6)

 日本の産業技術総合研究所が開発し、2005年に日本で販売が開始されたセラピー用アザラシ型ロボット「パロ」7)のメタアナリシスによると、従来の治療・ケア方法に比較して、ペットロボットが使われた群では、認知症の症状である興奮・抑うつは有意に減少させたが、認知機能と生活の質改善には結びついていなかった。従来の研究では、集団の中でロボットを用いられた研究で有効性が高いという知見もあったが、今回の解析では、個人のニーズに沿った使われ方ができているためか、個人で用いられている場合でも効果が見られていた。

セラピー用アザラシ型ロボット「パロ」(写真:大和ハウス工業)