本コラムではこれまで、デジタルヘルスの有効性・効率性のエビデンスについて論じてきた。今回は、デジタルヘルスの保険償還の在り方について、京都市保健福祉局の一戸和成氏と共に考える。一戸氏は、厚生労働省の元医系技官で、保険局医療課、医政局の旧指導課や経済課等に在籍した、診療報酬・医療政策に造詣の深い論客である。

 初めに、日本の保険償還についておさらいし、その上で、米国の保険償還の概要を紹介する。

日本における保険償還の現状

 厚生労働省は「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」において、医療・福祉サービスの生産性向上に向け、単位時間サービスの提供量を、医師については7%以上の改善を目指すとしている。その中で示されている具体的な改革の項目の中には、AI(人工知能)、ICT(情報通信技術)等の実用化の推進やオンラインでの服薬指導、現場の効率化に向けた工夫を促す報酬制度への見直し(実績評価の拡充など)の記載があり、今後の遠隔診療も含めたデジタルヘルスの進展は、こうした改革の大きな推進力となることが想定される。

 遠隔診療も含めたデジタルヘルスに対する従来の診療報酬は、医師が患者を相対する対面診療のあくまでも「補完」としての位置づけであり、その評価は低いものであったが、平成30年度診療報酬改定において、オンライン診療料の導入などをはじめとして、遠隔診療に対する評価が拡充された。

 評価(拡充)された技術には、オンライン診療料など、医師が情報通信機器を用いて患者と離れた場所から診察を行うことを評価したものと、心臓ペースメーカー指導管理料、在宅患者酸素療法指導料などの情報通信機器を用いて遠隔でモニタリングすることを評価する遠隔モニタリング加算の二つがある。

 オンライン診療料は、医師と患者の物理的距離を埋める術として、患者の利便性を高めるための評価であり、遠隔モニタリング加算は、これまでの対面診療の原則において、次の受診機会まで把握できなかった患者の状態を、機器を用いて把握することで随時、患者に対して必要な管理や指導を行うことへの評価である。